株式レポート
2月9日 18時0分
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当面の投資スタンス - 広木隆「ストラテジーレポート」

前回のレポートの最後で、「これまでの環境が大きく変わろうとしている。どう対処するべきか。次回のレポートを乞うご期待」と書いたところ、読者からクレームが来た。「なぜ、そんなに引っ張るのか。出し惜しみしないで早く教えろ」というのだ。こちらにも、いろいろ事情があってやっていることなのでご理解いただきたい。

まあ、いろいろなわけがあって、前回の「潮目の変化」から今回のレポートの間にワンクッション、入れたのだが、その理由のひとつは、なんということもない、僕自身が相場を見たかったということがある。ワンクッション入れて正解だった。「潮目の変化」は確かに起きている。その確信は変わらないが、対処の仕方を間違って伝えるところだった。僕は、足元起きている潮目の変化が株式相場にとってリスクを高めることになるので、慎重姿勢で臨むべき、例えば一旦ポジションを軽くできる状況にあれば売ってもいいと言おうと考えていたが、杞憂だった。僕が考えた今年最大のリスクのひとつが、全然たいしたことがないことがわかった。だから「どう対処するべきか」などと大袈裟なことを言ったが、結論は、これまでと同じでいい。この先、日経平均は2万円を目指して上昇していくだろう。優良銘柄のバイ&ホールドを継続というスタンスに変わりはない。以上。

と、ここで終ってしまっては、読者は煙に巻かれた気がするに違いない。またクレームの嵐となりそうだから、もう少し補足しよう。

長期金利の大底模索

まず潮目の変化の最たるものは、日本の長期金利が下がらなくなったことである。これは世界中が金融緩和合戦を繰り広げているなか、括目に値する。国債利回りが自律的に反転姿勢を見せ始めたのである。前にも書いたけれど、自律反発というのは何も材料がないなかマーケットが自然に反発に転じるということだから、これ以上の「究極」的な状況はないのである。市場が極に至った、すなわち、金利の大底(国債の天井)をつけたということである。



いつも言っている通り、ものごとにはすべて二面性があり、このことも良い面と悪い面とがある。良い面は、長く続いてきた国債バブルが終焉しつつあることであり、株式へのグレート・ローテーションがようやく本格化する可能性がある。日銀の金融緩和が、量から質へ軸足を移すなら、すなわち国債の大量購入からETF購入へとシフトするなら、そのグレート・ローテーションの流れを後押しするだろう。

悪い面は円金利の低下余地が限られることで円安が進みにくくなることである。日銀が追加緩和をおこなっても、かえってそれが、国債購入拡大の打ち止め感⇒量的緩和の限界⇒円高という流れを招くのではないか、それが最大のリスクだと考えていた。

ところが先週のマーケットの反応を見ると、それが杞憂だったとわかったのだ。円金利の底打ちより、原油価格の反発でNYの株が上がるほうが、日本株もドル円相場にもポジティブな影響があることが示唆された。米国景気の力強さが統計に現れ、米国の利上げ観測が高まるほうが、ドル円を上昇させる。結局、米国次第、世界のリスクオンの流れ次第ということだ。

無論、まだまだ議論の余地はある。真っ先に挙げられる論点としては、これで日本の長期金利低下に歯止めがかかったとみるのは早計である、という議論だろう。確かに、まだ下がる可能性はある。日銀が追加緩和で国債購入を(限界的とは言え)拡大すれば、長期債利回りでさえマイナスとなる可能性も否定はしない。しかし、繰り返し述べている通り、そうなったらそこでさすがに打ち止め感が出るだろう。マイナス金利は持続的ではなく一時的なものだろうと予想する。だから、長期金利は大底圏を形成しつつある、という表現で間違いないと考える。
景気回復が鮮明に

景気動向も長期金利の底打ちを支援するだろう。内閣府が先週末に発表した2014年12月の景気動向指数は一致指数が前月から1.5ポイント上昇して110.7。自動車や携帯電話など耐久消費財の出荷が増え、2カ月ぶりにプラスになった。内閣府は景気の基調判断を、景気後退期入りの可能性がある「下方への局面変化」から拡大期に入った可能性を示す「改善」に引き上げた。



16日には2014年10-12月期の国内総生産(GDP)が発表されるが、3四半期ぶりにプラス成長に転じることが予想されている。民間調査機関10社の予測平均値は、実質4.0%増と高い伸びとなりそうだ。

こうなることは7-9月期のGDPが発表された頃からだいたいわかっていた。7-9月期のGDPは2四半期連続のマイナス成長となったが、定義上のリセッション(景気後退)という深刻さはどこにもなく、むしろ在庫がはけて今後の生産の持ち直しを示唆する内容であったからである。(この点は、2014/11/20付「GDPサプライズはショックではない」、2014/11/27付「師走相場のポイント」等のレポートで述べた通りである。)

原油価格下落と日本の景気循環

今回の景気持ち直しに寄与したのは原油安である。原油価格の低下というのは、いろいろ言うひとがいるが、日本にとって悪いわけがない。1月23日の月例経済閣僚会議で政府が示した見通しによると、50%の原油安が1年続くと日本のGDPは1.2%押し上げられる。これは他の変数が一切変わらないという前提の試算だが、だいたいこんなものだろう。今回の原油安はよく86年初頭の「逆オイルショック」再来と言われるが、その時もGDPを1.7%程度押し上げることに寄与した。輸出価格を輸入価格で割った交易条件が改善するからだ。

過去、原油が急落したときをみると、概ねその前後で日本の景気循環の「谷」をつけることが多い。原油価格の低下がいかに日本経済に寄与するかを示すものだ。ところが、ここも重要な点なのだが、その後、原油価格が回復に転じても景気も株も回復するということだ。これは原油価格の回復=グローバル景気の回復で、日本経済と日本企業の業績がグローバル景気に連動するからにほかならない。



グローバル景気回復とともに原油価格が戻るかどうか、それは現段階では見通せない。しかし、ここで原油が下げ止まったとすれば、短期的にはリスクオフが和らぐという意味で日本株にプラスだし、交易条件の改善で日本経済にプラスに寄与するのは間違いない。

前述した通り、今回の原油急落は86年初頭の「逆オイルショック」再来と言われる。ちょうど80年代後半のバブル相場が始まったころである。80年代バブルの原因は85年のプラザ合意で円高不況になり、その対応策として積極財政と公定歩合の引き下げをおこなったこととされるが、この86年初頭の「逆オイルショック」もバブルを生んだ要因のひとつである。



低インフレと金融緩和がバブルの温床となった。その意味では、今の状況に似ていなくもない。原油安というとデフレ圧力という負の面が強調されがちである。しかし、国内の需給ギャップによるデフレはよろしくないが、原油安のような外的要因のコスト安による低インフレはむしろ歓迎すべきだろう。原油の値下がりで物価も伸びが鈍り、実質賃金が上がる。その後、消費主導の景気回復で緩やかなインフレが達成さればベストシナリオではないか。
まとめ

繰り返すが、日本の長期金利はマイナス圏に突入する可能性を排除しきれない。しかし、それは一時的なものとなろう。足元で長期金利が下げ渋っているのは、来たるべき底入れ(国債価格の天井打ち)に備える予行演習だと思われる。その予行演習をマーケットは無難にこなしている。だから、安心感がある。株式市場の下値不安は相当程度、後退している。日経平均はなかなか三角保ち合いを上に放れきれないでいるが、ドル円相場は一足早く膠着相場から放れる気配を見せている。現在、ウクライナ紛争を巡って、ドイツ、フランス、ロシアの協議が続いているが、紛争収拾に向けた進展が見られればリスク回避姿勢が一段と和らぎ、ドル円相場も明確に上に抜けるだろう。無論、日本株もそれに連れて上昇するだろう。





(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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