ニュースの現場に身を置く今、情報をつくり出す部分にも興味が出てきたと話す加藤さん。「今は報道番組のアナウンサーとして、自分は何ができるのか……と模索している段階です。オンエアは毎日楽しいのですが、まだ80点。この先きっと、今まだ見えていない残りの20点が見えてくるのではないかと思います」

 インタビュー終了後は、Nスタの打ち合わせに同席させていただきました。そこには、過去のニュース取材経験について語るメインキャスターの堀尾正明さんの話に、熱心に耳を傾ける加藤さんの姿がありました。

「新人アナウンサー」卒業後、アナウンサーたちは研修で養った「耳」を頼りに、現場の仕事を通して台本にない自分なりの「残りの20点」を探っていくことになります。加藤さんは、今後、報道の現場で、どんな「残りの20点」を見つけるのでしょうか。報道のアナウンサーとして、さらなる活躍を期待したいです。

Reflection 中原淳の視点 「 自分の仕事に気づくセンサー」

 仕事に必要な知識・スキルは、結局、業務を通して――すなわちコンテキスト(文脈)の中――で学ばれる必要があります。そして、その学びに終わりはありません。熟達した、到達したと思えば、「残りの20点」が見えてくる。「業務の中での学び」とは、結局、「終わりのない旅」に出かけることでもあります。

 それでは、教室で行われる研修やオフィシャルな教育機会には何ができるでしょうか。それは、「自分の仕事のあり方を自分でモニタリングして、自分で学び直すこと(自己調整学習)」の癖をつくること、そして、現場の「出来事」や「現象」にまみれた日常の自分を相対化し、概念的知識をつくり、整理することです。

 駆け出したばかりのアナウンサー笹川友里さんが挑戦なさっていたことは前者であり、加藤シルビアさんが試みていたことは、後者に近いものであると思います。

 本取材で得られた「耳を養う」というメタファや、「台本にないなにかを探る」というメタファは、決してアナウンサーだけに当てはまることではありません。一般のビジネスパーソンにおいても、「自分の仕事に気づくセンサー」はぜひ持ち合わせていたいものです。

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