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“対震ドア”事業に賭けた建築業界の風雲児
サンハウジング社長 川田 正

週刊ダイヤモンド編集部
【第4回】 2007年10月19日
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 1995年2月、川田正は阪神淡路大震災の現場に立っていた。震災後、すでに1ヵ月たった神戸の街。そこには川田の知る美しい都市造形はなく、倒壊したビルや家々が連なり、寒々しい光景が広がっていた。

 当時、川田は神奈川県横須賀市の建築会社で現場監理の技術者として勤務していた。その日は、地震による被害状況を把握するために、震災現場を視察していたのだ。

 「人間の力とは、かくも弱いものなのか」。大地震という巨大な自然エネルギーの前では、どんな強固な人工構造物も無力に近い。その当たり前の、だが厳しい現実を思い知らされた。

 しかし、川田は根っからの技術者だったのだろう。ほどなくショックから立ち直り、「地震から命を守る家を造りたい」という思いを強めていく。

 このとき、他の多くの技術者同様に、高価な耐震住宅の開発に力を入れていたならば、今のサンハウジングは間違いなくなかった。研究の過程で深めた思い――それは、「いつ起こるかわからない巨大地震に対し、多額のおカネをかける人はさほどいない」ということだった。

 川田が着目したのは、逃げる場所を確保する技術。つまり二次災害を防止するための「耐震ドア」だった。

二次災害を防止する逆転発想のはずれるドア

 耐震ドアに行き着いたのは、川田が消防関係者から聞いた話がきっかけだった。震災で建物から自力で脱出できなかった人は約3万5000人。そのうち救出された人は約8000人にすぎず、半数以上は救出時点で死亡が確認、震災後2時間以内の余震や火災での死亡が推定される事例も少なくなかった。特に、高層マンションなどの集合住宅では、地震で建物がゆがみ、玄関が開かなければ、逃げ場はない。「玄関が開けば、助かる人びとも多いのではないか」とわかりやすく考えたのだ。

 決断すると行動は速い性質だ。2000年11月、約11年間勤めた建築会社を退職すると、サンハウジングを設立した。

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