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電機大手のしみったれた副業解禁に見る、「副業の自由」確立の必要性

山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]
【第67回】 2009年2月12日
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 このところ電機メーカーの大赤字が報じられているが、それに付随するように、なんとも情けないニュースが聞こえてきた。2月4日の産経新聞が一面トップで伝えたところによると、電機大手の富士通グループは、稼働率が低下している国内工場(岩手工場や三重工場等)の約5000人の正社員を対象にして、副業を容認したという。これまでは就業規則でアルバイトなどを禁じてきたが、労働時間を減らして雇用を維持する“ワークシェアリング”導入に伴う賃金の減少分を補填するため、例外的措置として認めたらしい。

 筆者は副業に賛成で、社会もこれをもっと後押しすべきだ(少なくとも邪魔をすべきではない)という立場だが、そもそも副業には、(特に恒常的に行うには)それなりの準備が必要だ。いきなり「今からあなたは週当たり何日が暇で、一日何時間が暇だ。だからその分、副業で勝手に埋めなさい」というのはあまり感じのいい話ではないし、親切な話ではない。

 人ごとながら、富士通グループの社員がいったい何の副業をするのか気になる。プログラムを書いたり、ホームページを作ったり、企業のネットワークの面倒を見るといったことができて、営業センスがあるシステムエンジニア(SE)ならいざ知らず、報道によれば、副業の“許可”を得た大半の人は製造現場の勤務者という。大多数が、さほど多くの副業の伝手(つて)を持っているとは思えない。

 ところが、このような無責任な形で副業解禁を喧伝するのは富士通だけではないらしい。日経新聞の2月5日の朝刊に小さく報じられていたが、東芝も半導体部門と液晶パネル子会社が2、3月に実施する一時帰休の期間中に副業を容認する方針だという(半導体部門は約1万3000人が平均12日間、液晶パネル子会社は約3000人が平均7日間の一時帰休を予定)。他にも、電機系の会社で、ITバブルが崩壊した2001~2003年に副業を容認していた先例があるようだ。

 一般に、企業は、傾向として、社員が副業を持つことを嫌い、かつ大多数は就業規則で原則として副業を禁じている。ひとつには、社員が本業に集中しなくなる心配があるということだろう。社員間の嫉妬も心配だ。また、他の収入源を得た社員の会社への依存度が減ることで、使いにくくなることを心配してのことだろう。また、本業での取引関係や情報などを、社員が副業に流用することで、本業の利益が損なわれるという恐れも抱いているかもしれない。

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山崎 元 [経済評論家・楽天証券経済研究所客員研究員]

58年北海道生まれ。81年東京大学経済学部卒。三菱商事、野村投信、住友信託銀行、メリルリンチ証券、山一證券、UFJ総研など12社を経て、現在、楽天証券経済研究所客員研究員、マイベンチマーク代表取締役。


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