あなたが言いたいことを伝えるためには、まず、相手が聞く耳をもってくれなければ始まらない。つまり、感情(エモーション)のレベルで、好意まではいかないとしても、興味をもってもらうことだ。連載第2回は「相手を引き込む『3』の法則」から1つご紹介する。

はじめが肝心

 思いがけない質問を受けて、あわてることがあります。

 たとえば、次のような場面を思い浮べてください。担当者が顧客に自社製品の説明をしています。

「性能はもちろん、省エネの点でも申し分ありません」

 よどみない話しぶりに、顧客のテンションも上がっています。担当者は〈イケる〉と、心の中でニンマリしていました。ところが……。

「じつは昨日、おたくと競っているA社の製品を見てきた。それと比べて、どんなところが優れているの?」

 もし、あなたがこの担当者だったら、どう答えますか? A社の製品については、内心〈悪くない〉と思っています。

 しかし、ここであたふたしては、これまでの苦労が水の泡。

「ええっと、それはですね……。機能面でだいぶ違いがあるんです。弊社のほうが多機能なんです。それに、価格……あっ、値段は同じですね。でも、環境への配慮では、断然こちらが優れています。それから……アフターサービスは充実していますよ」

 こんな答え方では、相手に不信感を抱かせます。

 では、どうすればいいのでしょうか?