首相が施政方針で述べた「戦後以来の大改革」
安保政策も大きな岐路に

安保法制で諸外国に<br />“言いがかり”の口実を与えるな安保法制の議論は、日本の将来にとって極めて重要だ。写真は海上自衛隊のイージス艦
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 イスラム国による日本人人質殺害事件は日本社会に大きな衝撃を与えた。なすすべなく二人の日本人が処刑されたことは、悲痛な思いで受け止められた。

 安倍首相は極めて鋭い言葉でこれを非難し、「罪を償わせる」とか、「日本人にはこれから先、指一本触れさせない」と述べた。これは国民の強いフラストレーションを代弁しているものなのだろうか。

 施政方針演説で安倍首相は「戦後以来の大改革」が議論されようとしていることを訴えたが、安保政策だけをとっても、いま日本は、かつてなかったほど大きな岐路に来ている。

 海外においても日本の動きに注目が集まっている。たとえば2月12日付のニューヨークタイムズのように、安倍首相は一時慎重な態度をとった憲法改正議論について、イスラム国による二人の日本人の殺害に対する国内の強い意識を踏まえて、米国に押し付けられた憲法を改正する姿勢を取り戻している、等といった趣旨の記事も散見される。

 これまでの安全保障体制に関して日本政府が行ってきた改革は、常識的な内容を超えていないと思う。国家安全保障会議の設置、国家安全保障局の設置、武器輸出三原則の見直し、特定秘密保護法の制定などは、冷戦が終了し安全保障環境にも極めて多くの要素が出てきた中で合理的な改革なのだろう。集団的自衛権の行使一部容認についても、常識的で合理的な結果になることが期待される。