食事中に暴れた子どもを別室に“隔離”したユカイ

ユカイ じつはね、「隔離」をいま実践しているところ。

奥田 えっ、ほんとですか!

ユカイ うん。双子の男の子が食事中に暴れてしまうことがある。そういうときは何も言わずにいきなり別室に「隔離」だね。小さいから長い時間やるわけじゃないけど、それでも反省して戻ってきてちゃんと食べるんだよね。

奥田 それはすごい! アメリカの研究では親が実施する「タイムアウト」の成功確率は50%くらいと低いものです。半数が失敗するというのはマズイのです。だから専門家の指導のもとで行わないといけない、と。本を読んだだけでできるのは、ユカイさんがロックスターだからですよ。

ユカイ そうかな(笑)。

奥田子どもは本来「破壊者」なので、親が決めたルールや時間は守らないものなんです。ものは壊すし。そうすると、「ロックな育て方」のほうがうまくいく。

ユカイ 先生もかなりロックだよね。

奥田 見た目も中身も。小2から家出ばかりしていました。相当荒れた少年時代でしたね。いまは勤務していた大学も辞めてしまいましたし……。安定を求める時代に、安定を自ら捨てたわけですからね。で、今は長野県に新しい幼稚園を設置申請なんかしているわけです。何をやっても「日本初」になっちゃいます。フツーじゃないですね。

ユカイ ロックだね!(笑)

奥田 じつはユカイさんが「いい」と言ってくれた「隔離」の部分なんですけど、危うく消えるところでした。

ユカイ えっ、そうなの?

奥田 編集がある程度進んだ段階で、初めて原稿を読んだ別の編集者が「過激すぎるから『入院』や『入所』のところはカットしたほうがいい」「やわらかい表現に変えたほうがいい」と言ったんです。僕は「それなら出版しない」と言ったんですけど。

ユカイ たしかに「隔離」というのはぎょっとする言葉だよね。でもわかりやすい。飛行機に乗っていても子どもが3人いると大変だよ。誰かしら騒ぐからね。
 そういうときに、「シーッ」と言っても聞かない。そういうときは座席から下ろして、トイレに近いところまで連れていく。そうすると子どももすぐにわかるんだよね。態度がすぐに変わるんだよ。

奥田場面を一瞬のうちに変える効果です。たとえば、新幹線ならデッキまで連れていく。しばらくしてまた席に戻る。また騒いだら、またデッキに連れていく。保護者としてはかなり手間がかかりますけど、手間暇を惜しんでは子育てはうまくいきませんよ。

ユカイ いや、かえってこっちのほうが早いんじゃないかな。理にかなっていると思うよね。「隔離」、ホント、これいいよね。
(後篇に続く)

ダイアモンド☆ユカイの<br />ハートを揺さぶる“ロックな子育て”
<著者プロフィール>
臨床心理士/専門行動療法士/行動コーチングアカデミー代表。兵庫県西宮市生まれ。
常識にとらわれない独自の指導プログラムにより、さまざまな子どもの問題行動を改善させる行動分析学者。数万件以上の難問題を解決してきた手腕から「子育てブラック・ジャック」と呼ばれ、日本各地のみならず世界各国から指導依頼を受ける国際的セラピスト。年間のべ1000件以上の相談活動を行い、これまでの相談実績は数万件以上。桜花学園大学大学院客員教授など研究者としてのキャリアを経て、2012年に長野県西軽井沢に5000坪の敷地を買い取り、「行動コーチングアカデミー」を設立。発達障害、自閉症、不登校などの問題解決に関わる人材育成を行い、現在、日本初の行動分析学を軸とした私立幼稚園の設立を準備していることでも注目を浴びている。「日本行動療法学会内山記念賞」(1999年)、「日本教育実践学会研究奨励賞」(2003年)、「日本行動分析学会学会賞(論文賞)」などを受賞。行動科学系の2大学会で初のダブル受賞となる。『NNNドキュメント』『スッキリ!!』(日本テレビ系)では、「今、最も注目されている教育者」として紹介。『あさイチ』(NHK総合)他にも出演。本書では、子育てにまつわる具体的な『行動の処方せん』を公開。著書にベストセラーとなった『叱りゼロで「自分からやる子」に育てる本』(大和書房)、『メリットの法則――行動分析学・実践編』(集英社)、『拝啓、アスペルガー先生――私の支援記録より』(飛鳥新社)、『自閉症児のための明るい療育相談室――親と教師のための楽しいABA講座』(共著、学苑社)などがある。
【奥田健次オフィシャルブログ】
http://www.diamondblog.jp/kenjiokuda/