確かに、図2を見ると、英語上級者全員が英語力が足りなくて応募できない求人はなかったとする一方で、中級以下では4割を超える人が応募できない求人があったと回答している。

出典:「第26回転職世論調査」(リクルートキャリア調べ)
Webアンケート実施期間:2014年2月27日~ 3月4日
対象:転職を実現したビジネスパーソン1930人のうち回答者392人

 英語力は転職の武器になると感じたかという質問に対しては、転職実現者の約7割が「なる」と回答。立花氏は「転職はもとより、ステップアップを求める人材にとって、英語力はやはり身に付けておきたいビジネススキルの一つ」と説明する。

 こうした動向に敏感なビジネスパーソンは、すでに英語力習得のための学習を進めていると、立花氏は明かす。 

スクールなどで
実践スキルを習得

 英語力を人事評価ポイントの一つと位置付ける企業では、TOEIC®を指標とすることが多い。このため、TOEIC®対策に力を入れる人が少なくない。とはいえ、TOEIC®で測れるのは「読む」「聞く」能力に限定されるのが実情だ。前述のように、企業が望む電話や会議、プレゼンテーションといった場面で要求される高度な運用力を身に付けるのは、独学では容易ではない。英会話スクールやインタラクティブツールなどの活用が有効となろう。

 ちなみに、いわゆる英語ができると評価されるレベルは「TOEIC®のスコアで800点以上では」と、立花氏は教えてくれた。以前は650~700点程度を一つの目安としていたことからすると、要求レベルが確実に高まっていることがわかる。「商社などへの転職を実現した人は900点以上をマークしています」。

 また、立花氏は「経営企画やマーケティングのプロフェッショナルを目指し、海外でMBAを取得する人も増えている」といった点にも注目する。「留学準備のため、英会話スクールで学ぶ人が少なくありません」。キャリアアップに意欲的なビジネスパーソンほど、英語にも目を向けているわけだ。

 企業も、従業員の英語力アップに力を入れている。TOEIC®受験費用の支援や英会話スクールなどへの通学の支援なども盛んに行われている。また、社内に講師を招いての研修に乗り出す企業も少なくない。業態・職種によって、英語の用法や頻出の言葉には違いがある。そうした細やかなニーズを反映した研修をオーダーメイドで実施できるのが、社内型英語研修のメリットだ。

 「少子化、人口減少によって国内マーケットの縮小が避けられない中、日本企業が売り上げを増やすには海外展開が不可避」と、立花氏。「国内展開を主とするサービス業などでも、訪日観光客向けのサービス提供や情報発信のニーズが高まってきています」という。

 例えば、国内ITサービス企業では、外国人観光客向けのサイト構築をはじめ外国人視点でのサービス開発に力を入れ始めているという。「外国人観光客の訪問は年間1300万人を超え、2020年には東京五輪も控えています。どんな企業にとっても、英語力が必須なのです」。英語力がキャリアアップのベースとなり、企業のビジネスチャンス拡大の原動力となる時代が来ている。