不況で消費が伸び悩むなか、高いクオリティの商品を安く提供し続け、驚異の「一人勝ち」を続けるファーストリテイリング。そんな同社も、中国に大型店を次々と展開している。ビジネスの高い壁に阻まれて夢を挫かれる日系企業が多いなか、「王者ユニクロ」は中国でも快進撃を続けているのか? ユニクロ中国(迅銷(中国)商貿有限公司)の高坂武史・副総経理に、同社の中国戦略と現地でアパレル企業が勝ち残るための心得を聞いた。

高坂武史
ユニクロ中国(迅銷(中国)商貿有限公司)の高坂武史・副総経理。「グローバルで売れる商品は中国でも必ず売れるはず」と語る氏は、これまで日系アパレルが行なってきた現地化戦略のあり方に一石を投じる。

――高坂さんは、中国ご出身だとお聞きしましたが、どのようなきっかけで日本と関わるようになったのですか?

 私は西安の出身です。中国の高校を卒業後、1990年に日本の大学に留学したのがきっかけです。当時の中国は、簡単に海外に行けるような状況ではなかったのですが、たまたま日本に留学できるチャンスをもらったので、日本に行くことになりました。

――ファーストリテイリングを就職先に選んだのは、なぜですか?

 私が入社した1996年は、まだユニクロが東京に進出しておらず、フリースブームが起きる前でした。大学の就職課の前を、たまたま通りかかったときに、「留学生求む 実力主義」という案内を見て、応募したのがきっかけです。

 当時は、「日系企業は年功序列で、外国人は上にいけない(責任のある仕事につけない)」というのが、日本に留学している中国人の間では常識でした。そんななか、「実力主義」という他社ではあまり聞かない言葉に惹かれたのだと思います。

 入社後は、店舗の店員からスタートし、店長、生産管理などを経て、2001年のユニクロの中国進出以降、中国事業を担当しています。

――ユニクロ中国では、中国市場独自の商品も販売していますか?

 中国市場向けの商品は作っていません。弊社では、中国に限らず、どこか特定の市場に特化した商品企画は行なっていません。あくまでもグローバルで売れる服を企画しているのです。