橘玲の世界投資見聞録 2015年2月25日

「世界でもっとも危険な都市ヨハネスブルグ」を安全に旅する方法
[橘玲の世界投資見聞録]

 これまで、ヨハネスブルグのダウンタウンと、アパルトヘイト時代に黒人居住区だったソウェトについて書いた。

[参考記事]
●南アフリカ・ソウェト、アパルトヘイト(人種隔離)が生んだ街。黒人が外界から"隔離"したら安全な地域に変貌

●「半径200mで強盗にあう確率150%」「バスの乗客全員が強盗」など南アフリカ・ヨハネスブルグの都市伝説は本当か?
 

 ヨハネスブルが観光地として楽しいかと訊かれるとこたえに窮するが、ここがさまざまなことを考えさせてくれる稀有の場所であることは間違いない。

 今回は、そんなヨハネスブルグを安全に旅する方法を紹介したい。

 

団体ツアーでは日本人が被害に遭うことはほとんどない

 「都市伝説」の強烈さから考えると、幸いなことにヨハネスブルグでの日本人旅行者の被害は軽微にとどまっている。

 外務省の海外安全ホームページでもヨハネスブルグの危険度は「十分注意してください」で、4段階の警告のうちもっとも低く、危険を避けるための「特別な注意」が要請されているだけだ。

 ヨハネスブルグのダウンタウンでは殺人、強盗、強姦、恐喝、暴行、ひったくり、車上荒し、麻薬売買などの犯罪が昼夜を問わず発生しているとしているものの、現実に起きた日本人旅行者の被害としては、

・ヨハネスブルグ中央駅付近や長距離バスターミナル付近を通行中に首絞め強盗(複数の犯人が突然背後から首を絞めて所持品を奪う強盗)に襲われる事件が複数件発生した

・日本国内の旅行代理店を通じて宿泊ホテルを手配したところ、現地の事情をよく理解しない代理店がダウンタウンのホテルを予約してしまい、ホテル周辺を散歩していて強盗被害に遭った

 という事例が挙げられているだけだ。

 いずれも危険な地域に近づかなければ避けられることで、実際、旅行会社が主催する団体ツアーで訪れた日本人観光客が被害に遭うケースはほとんどない。

 南アフリカはアフリカ諸国でもっともゆたかな国で、富裕層(中流階級の上位)は人口5000万人のうち10%として500万人、5%としても250万人もいる(ちなみに白人の比率は10%)。彼らの多くはヨハネスブルグ、ケープタウン、ダーバンなどの都市圏に暮らしており、安全な生活を送るためのインフラを懸命につくってきた。旅行者もその仕組みを上手に利用することで、安全に滞在することができるのだ。

空港から観光客が電車で移動することを想定していない

 「世界でもっとも危険な都市ヨハネスブルグ」という先入観を持って空港(O・R・タンボ国際空港)に降り立ったひとは、そのモダンな施設にびっくりするだろう。

 空港は2010年の南アフリカワールドカップのために大規模な拡張工事が行なわれ、鉄道駅や高級ホテルなどが併設された。もちろん警備もしっかりしており、空港内で危険な目に遭うことはない。

モダンなヨヘネスブルグ国際空港           (Photo:©Alt Invest Com)

 

 ヨハネスブルグに宿泊する場合、一般の旅行者は郊外の再開発地域であるサントンかローズバンクのホテルを選ぶことになるだろう。ローズバンクは高級住宅地で、東京でいうと自由が丘に六本木ヒルズがある感じ、サントンはひとまわり規模が大きく、銀行やオフィスも集まっているので、立川に六本木ヒルズと東京ミッドタウンを持ってきたような感じといえば雰囲気がわかるだろうか。いずれも多数のセキュリティガードが配置されており、ホテルやショッピングセンター内はもちろん、施設の敷地内であれば夜間も出歩くことができる(夜は人通りがほとんどなくなるので、敷地の外に出ることは勧めない)。

 空港からサントン、ローズバンクまでは25キロほど離れており、交通手段としてはタクシーと電車(ハウトレイン)がある。

 空港のタクシー乗り場には白タクの呼び込みがたくさんいるが、トラブルが頻発しているため利用は避けたほうがいい。

 空港のホームページではエアポートリンクAirport Link、ローゼズタクシーRoses Taxi、キャブズ・フォー・ウィメンCabs For Womenの3社が紹介されている。ユニークなのはキャブズ・フォー・ウィメンで、男性のドライバーと同乗するのを嫌う女性客のために、すべてのドライバーを女性にしたメータータクシーだそうだ(もちろん男性客でも利用できる)。電話で予約するか、到着ゲートを出たらタクシー会社のカウンターで申し込めばいい。料金はメーター制の場合、サントン、ローズバンクとも400ランド(約4000円)前後。

 両替所は到着ゲートの周囲に並んでいるが、クレジットカードのキャッシングを利用するひとも多いだろう(この方が、金利を考えても両替コストが安い)。その場合はエレベータを上がった中2階にATMがある。

 ガイドブックなどでは、空港のタクシーではなく送迎サービスを利用するよう推奨している。こちらはドライバーが出迎えに来てくれるからより安心だ。

 南アフリカにはサファリツアーを催行する日系の旅行代理店があり、こうしたところが空港―ホテル間の送迎サービスを提供している(インターネットを検索すればかんたんに見つかるだろう)。予約したホテルにピックアップサービスを頼んでもいい。いずれも800ランド(約8000円)程度。

 空港とサントン、ローズバンクなどを結ぶハウトレインの乗車口はエレベータを上がった中2階にある。

 ハウトレインはワールドカップに合わせて営業が開始された新型鉄道網で、いちばんの特徴は構内や車内に多数のセキュリティガードを配置していることだ。そのため夜でも安心して乗車でき、市内の富裕層はもちろん旅行者の利用も多い。

 窓口で磁気カードを購入し、そこに運賃をチャージする仕組み。チケットマシンでも発券・チャージできるが、窓口で購入した方が早い(クレジットカードも可)。サントンまで直通で料金は135ランド(約1350円)。

新型交通システム、ハウトレイン        (Photo:©Alt Invest Com)

 


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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