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ギャンブル依存症536万人説!?
生活を賭けたらもはや娯楽ではない(下)

降旗 学 [ノンフィクションライター]
【第105回】 2015年2月21日
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>>(上)より続く

 施設の利用料は月二〇万円だから決して安いとは言えない。スタッフは精神保健福祉の資格を持ち、医師と連係して症状の改善状況を観察する。その男性は共同生活に戸惑い、ふて腐れてもいたそうだ。だが、周囲が声をかけてきた。

 「オレも借金で大変だったんですよ」
 「つらくないっすか」

 共同生活者は、いずれもが依存症で苦しんできた人たちだ。互いの苦しみがわかるから、助け合おうという気持ちが芽生えるのだろう。

 ある日の講義で、ギャンブルで失ったものを書き出した。

 「家族」「友人」「信頼」

 書き出しているうちに感情が込みあげ、声をあげて泣いたそうだ。そして、かつて迷惑をかけた元妻と家族、元同僚らに謝りに行った。

 「自分の現状を受け入れ、人生を見直していくうちに気持ちが楽になった。ギャンブルがなくても生活できる自信が少しずつ生まれてきた」

 私は、麻雀以外のギャンブルをやらない。というか、パチンコも競馬も、やったことがない。麻雀も、気づけばもう十五年近く牌も握っていない。打ちたくてもメンツが揃わないから、年に一回か二回、プレステで打つくらいだ。恥ずかしい。

 だから、ギャンブル依存症というものがどういうものかを私は知らない。

 ただ、思うに、依存症というのは、罪悪感のないことを言うのだろうとは思う。まずいな、借金した金でパチンコやってたらまずいよな、と思っているあいだはまだ依存症とは呼べないような気がする。女房にすまないと思い、後ろめたさがあるうちは、足抜けしたい気持ちも垣間見られるからだ。

 だが、借りた金をギャンブルに注ぎ込むことに悪びれもしなくなったら、それが依存症だ。自分の稼ぎだけでは足りず、金を借りてでもやりたい、やらなければ眠れないといった状態を言うのだろう。

 四、五年前、『リカバリーサポート・ネットワーク』という、パチンコ依存症の人たちを救済するNPOを設立した人を取材した。力武一郎さんという方だが、彼は、パチンコ店の経営者だった。パチンコ店の経営者が、パチンコ依存症の人たちを救う組織をつくったのである。

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降旗 学[ノンフィクションライター]

ふりはた・まなぶ/1964年、新潟県生まれ。'87年、神奈川大学法学部卒。英国アストン大学留学。'96年、小学館ノンフィクション大賞・優秀賞を受賞。主な著書に『残酷な楽園』(小学館)、『敵手』(講談社)、『世界は仕事で満ちている』(日経BP社)他。


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三面記事は、社会の出来事を写し出す鏡のような空間であり、いつ私たちに起きてもおかしくはない事件、問題が取り上げられる。煩瑣なトピックとゴシップで紙面が埋まったことから、かつては格下に扱われていた三面記事も、いまでは社会面と呼ばれ、総合面にはない切り口で綴られるようになった。私たちの日常に近い三面記事を読み解くことで、私たちの生活と未来を考える。

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