クレームはどうすれば予防できるのか?

 クレームの予防といえば、たいていはクレームの原因になる「病巣」を摘出しようとする。たとえば、食品への異物混入を防ぐために製造工程を見直したり、作業手順を確認したりすることだ。

 しかし、その前にやってほしいことがある。それは「基礎体力」をつけることである。「体質改善」といってもいいだろう。たとえば、クレーム情報を組織で共有し、「バッドニュース・ファースト」(悪い情報を最初に伝える)が実践できるようにしておくことはとても重要である。

 また、店舗を構えているなら、顧客への「挨拶」は欠かせない。「いらっしゃいませ」「こんにちは」といった声がけを通して顧客に目配りすることは、顧客満足度を向上させるだけでなく、クレームやトラブルの抑止にもつながる。

 これは、挨拶が「防犯」に役立つことからも明らかだ。もし、商品棚を物色している万引き犯が「なにか、お探しですか?」と店員から声をかけられたら、どうするだろうか? 十中八九、犯行を思いとどまるだろう。同様に、さまざまなリスクを予測してクレーマーを遠ざけるのにも有効である。

 とはいえ、クレームがゼロになることはない。クレームが発生したら、拙著『クレーム対応の教科書』で紹介した「5つの行動原則」に沿って、臨機応変に対応することが肝要である。

 しかし、それでも心が折れそうになることがある。そんなときに備えて、「クライシス対策」を立てておきたい。