「コア・サテライト」と「LDI」。年金運用関係者以外ではお聞きになったことがない方が多い言葉かもしれない。

 コア・サテライトとはインデックス運用を中核部分として、これに衛星(サテライト)のようにアクティブ運用を組み合わせる運用スタイルを指す。

 LDIは近年よく出てくる言葉だが、ライアビリティ・ドリブン・インベストメントの頭文字を取ったものだ。これ自体は年金負債に対するリスクを最小化する運用を指す。単純化して説明すると、たとえば将来の支払い義務(ライアビリティ)が10年先と20年先なら、満期が10年と20年の国債(できれば割引債)で運用すれば、運用期間中に金利が上下しても、必要な額を確保することができる。実際の年金基金では将来の支払い(の予想)がこんなに単純ではないし、運用側も債券の組み合わせとともにデリバティブを使ってリスクを最小化する。

 これ自体はまじめな考え方だが、筆者が興味を持つのは、運用資産の8~9割はLDIで運用しつつ、残りの1~2割を「リターン追求ポートフォリオ」などと称して株式運用やヘッジファンドなどで高いリターンを目指す形態を提案するコンサルタントが多いことだ。

 コア・サテライト型の運用構造(「マネージャー・ストラクチャー」と称する)でインデックス運用を相当割合(7~8割が多い)で持つ理由は、インデックス運用の手数料が安いこと、アクティブ運用が平均的にはインデックス運用に勝つのが難しいこと、複数のアクティブ運用を組み合わせるとインデックス運用に似てくる現象があること、の3つだ。いずれも、運用実務関係者には納得的だ。