テクノロジーは「道具」であって、
ソリューションではない

 今後テクノロジーがどんどん進化していくと、ネットマーケティングの効果をより高められるようになっていくだろう。これからのマーケターはテクノロジーを絶対に使いこなすべきだ。私も自分のクライアントに最新テクノロジーを日々どんどん導入している。

 ただし、テクノロジーの進化による便利さを履き違えると、デジタル時代のマーケティングは“怠惰”の方向に向かってしまうので注意が必要である。
テクノロジーはあくまでも手段であり、それ自身が目的になってはいけない。絶対に!

 テクノロジーとは、マーケティングにおけるソリューションとして存在するのではなく、マーケターを単純作業から解放するためにある。
 単純作業を減らすことで、プランニングなどの知的生産に費やす時間を増やすことを可能とさせ、人間が生み出す付加価値をより高めるためにある。
 つまり、どんなにテクノロジーが進化しても、人間が商品や消費者をしっかりと見極め、売るための企画を徹底的に「考え/実践/検証」する必要がある。

 自動クリエイティブ生成ツールや自動最適化ツールなどが出てきたとはいえ、それだけに頼っていたら、テクノロジーは「アホマーケター量産装置」になることもある。

 バズワードやテクノロジーに踊らされない、人間心理・感情の原理原則を考え抜いたプランニングをするという「基本」に立ち返ったマーケィングこそが、デジタル時代を勝ち抜くうえでの重要なカギとなるのである。

マーケティングの本質は
「売れる」環境づくりをつくること

 どんな時代になっても、マーケティングの本質は“売ること”にある。
実はネットマーケティングで、売るためのヒントは意外なところにある。
 それは、過去のアナログマーケティング、とりわけ「ダイレクトマーケティング」にあるのだ。

 たかが十数年の歴史しかないネットマーケティングに比べて、ダイレクトマーケティングには100年以上もの歴史があり、そこには先人が命がけで貯めてきた貴重な知恵やノウハウがある。
 だから、デジタルマーケターは、次世代マーケティング論を研究するよりも、ダイレクトマーケティング論を研究すべきである。

 テクノロジーによって消費者と近づきやすくなった時代に、先人たちがやっていた知恵やノウハウを再発見して再度活かすことが重要だ。
 日々どんどん新しいメディアが生まれてくるが、必ずしもそこで行うことが常に新しくある必要はなく、先人たちの成功と失敗を過去から学ぶことによってネットマーケティングはさらに強くなっていくのだ。

 私は、あらゆる通販広告主のネット事業を大成功させてきた自負があるが、正直なところ、私のノウハウは私がゼロから考えた手法ではない。
 ネットが登場する100年以上も前から偉大な先人ダイレクトマーケターの知恵やノウハウを、ネットという世界に適用(逆輸入)させてきただけである。
 そう、私は、元三菱商事社員ということもあり、まるで商社マンのようなことをやってきただけなのだ。

 今後も新しいデジタルメディアがどんどん出てくるだろうが、ダイレクトマーケティングの知恵やノウハウさえ理解しておけば、この先どんな新しいメディアが出てきても対応できる。

 先の見えない不況の中で、広告主のネットマーケティングに対する「費用対効果」の意識はどんどん高まり、「売りに直結するマーケティング」をさらに求めてくるだろう。

 実際に、サントリーをはじめ、ライオン、味の素、エーザイ、ロート製薬、資生堂など、大手ナショナルクライアントのほとんどがダイレクトマーケティングに力を入れ始めている。

 デジタル時代だからこそ、話題性を狙う自己満足的なマーケティングよりも、結果を出す売れる環境づくりのマーケティングが重要になってくるだろう。