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流通からの値下げ圧力に屈せず「肉質守る」
平田牧場会長 新田嘉一

週刊ダイヤモンド編集部
【第65回】 2009年2月20日
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平田牧場会長 新田嘉一
平田牧場会長 新田嘉一

 夢と信念を持つ経営は強い。新田嘉一の起業からこれまでの経緯はそう表現するほかない。

 新田は16代続く小地主の長男として山形県庄内地方の平田町(現在は酒田市)に生まれた。

 終戦を目の当たりにし、「これからは炭水化物中心から、タンパク質中心の食に変わる」と日本の食文化の変化を予測する。そこで早速、稲作農家だった父に畜産への転換を持ちかける。

 しかし、水田を売る提案をしたことが父親の逆鱗に触れ勘当されてしまう。

 無一文に近い状態で、たった2頭の豚の飼育を始めた。それが平田牧場のスタートだ(1967年に会社として起業)。

 起業後しばらくして、新田は鹿児島県産の豚肉が山形県産に比べ2倍の価格で流通していることを知る。さらに、69年に国が主催した欧州の視察ツアーに頼み込んで同行、欧州の食文化に接しその豊かさに驚愕する。

 「欧州で食べたハムの味は今でも忘れられない」

 鹿児島県産の黒豚に勝つ。豊かな食卓を日本でも実現させる。それが新田の夢となった。

 そして、その夢の実現のために「肉質を落としてまで価格は下げない」という強い信念を持つようになった。しかし、その愚直さゆえ、危機に直面したこともあった。

肉質を落としてまで価格を
下げることを拒みダイエーとの取引を停止

 たとえば、事業が軌道に乗り始めた75年頃のことだ。

 大手流通のダイエーから豚肉の卸値を下げてほしいという要請があった。ダイエーは月間1000頭以上を納入する平田牧場のいちばんの得意先だった。

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