今年初めに開かれたコンシューマー・エレクトロニクスショー(CES)で注目を集めたナンバー・ワンの製品と言えば、パーム社のスマートフォン、「Pre(プリー)」だろう。

 ハードウェアのデザインでは、携帯で一人勝ちをしているアップルのiPhoneには劣るものの、使い勝手の点ではiPhoneの欠点を埋めてあまりあるフィーチャーを揃えていると言われる。iPhoneに対抗できるスマートフォンが今度こそやっと登場したと、ブロガーやギークたちの期待は大きい。

 マーケットリサーチ会社のABIリサーチによると、ネットブックとスマートフォン(インターネット機能搭載)の売り上げ台数は、昨年の1000万台から、2013年には2億台にまで成長すると予測されている。現在この市場の売り上げ台数の90%はネットブックによるものだが、2013年にはスマートフォンが68%にまで拡大する。つまり、コンピュータの代わりにスマートフォンでネット・アクセスを済ませてしまおうという消費者も多く出てくるというわけだ。

 そんな背景もあって、スマートフォンでは今や製品のフィーチャーのひとつひとつが携帯端末メーカーの社運を決定するほどの影響力を帯びるようになっている。機能のラインアップはもちろんのこと、スクリーンを操作するインターフェイス、電話やメッセージングとさまざまなアプリケーションの同時操作の簡便さ、コンタクト・リストのディープさ、電池の取り替えなど、スマートフォン市場の消費者はますます鋭い鑑識眼を働かせているのだ。

 Preの特徴をざっとおさらいすると、以下のようになる。

  3.1インチ大のスクリーンは、例のタッチ操作。だが、スクリーンをスライドすると下から小さなQwertyキーボードが出てくる。物理的なキーボードがなくて、テキスト・メッセージング中毒のビジネス・ユーザーに受けが悪かったのがiPhoneだが、Preは先だって発売されたブラックベリー社のBoldと同様の改良を行い、ハードコアのビジネス・ユーザーにアピールする。

 PreがiPhoneやBoldよりさらに先を行くのは、スクリーンの操作インターフェイスである。中でも、小さなスクリーンでありながら、まるでコンピュータを使っているのと同じようなマルチタスクができるのが、Preの「カード式」のアプリケーション表示のおかげだ。