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アマデウスたち

諏訪内晶子
音楽に生きる確信と覚悟

週刊ダイヤモンド編集部
【第46回】 2008年9月19日
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諏訪内晶子
写真 加藤昌人

 1990年のチャイコフスキー国際コンクール・ヴァイオリン部門で、史上最年少、日本人初、審査員の満場一致という異例ずくめの第1位に輝き、18歳の少女は一躍時の人となった。

 翌々日の優勝記念コンサートに真紅のフレアドレスで現れた。端整な高音にモスクワ市民は酔いしれた。

 師の反対を押し切っての出場だった。前年のエリザベート王妃国際音楽コンクールで2位を受賞していた。十分な栄誉であり、あえてリスクを取る必要などなかった。

 だが、譲らなかった。確信と覚悟の人である。凱旋コンサートに1年半で区切りをつけると、ニューヨークに渡った。

 ヴァイオリンの技術を磨き、音楽に加え政治思想史も学んだ。「音楽は総合的な芸術。音には人間性があらわになってしまう」。

 ガラス細工のように限りなく透明で繊細な音色は、華麗なるデビュー以降、世界の視線を一身に集める張り詰めた覚悟を映していた。世界に名立たるオーケストラとの共演を重ねながら「理想の音を求め続ける。ひと言でいえば、それは意味のある音」。

 2007年11月には、エッシェンバッハ率いるパリ管弦楽団と、あのときと同じチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲を共演した。グレーのタイトなドレスに身を包んだ世界的ソリストの奏でる音は、むしろふくよかだった。

 「昔は舞台に立つとき、恐怖感があった。今も緊張感はあるが、決して怖さではない」。人生に新しい意味と彩りが加わったからに違いない。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 遠藤典子)

諏訪内晶子(Akiko Suwanai)●ヴァイオリニスト。桐朋学園大学ソリスト・ディプロマコース修了。米国ジュリアード音楽院本科およびコロンビア大学に学んだ後、同音楽院修士課程修了。国立ベルリン芸術大学でも学んだ。

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