1月末から公的年金やかんぽ生命保険とうわさされる信託銀行経由の買いや、海外投資家の先物買いを受けて日本株は節目らしい節目もなく急ピッチで上昇した。

 株高のけん引役は運用収益を追求するグローバルな緩和マネーだが、もう一つ陰の立役者として存在感を増しているGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)や国家公務員共済組合など公的・準公的年金を忘れてはいけない。

 東京証券取引所の投資部門別売買動向によれば信託銀行は現物株の買い越しが続いている。GPIFが近頃公表した2014年12月末時点の運用報告では、同基金が昨年10~12月期だけで国内株式を2兆円近く買い増していたことが明らかになった。

 多額の運用資産を持つ年金基金が、1日当たり100億~数百億円の現物買いを入れると、株価指数が1%前後上昇してしまうことは少なくない。そのため、公的マネーが動くというアナウンスメント効果だけで、売り手は戦意喪失状態に陥る。グローバルな緩和マネーの買い仕掛けはそうした投資家心理を突いているのではないだろうか。

 なぜなら、GPIFの年金積立金全体に占める国内株式の保有比率は昨年10~12月期の大幅な買い入れや最近の株高によって足元では22%くらいまで上昇していると推計され、ベンチマークの25%に接近しつつある。そのため、国債の売却・取り崩しを考慮するとGPIFの国内株式買い余力は今年末までに3兆円前後である。今後、公的年金の買いのペースは落ちてくる可能性が高いだろう。