日本は遺伝子の特許について
どんな決断をくだす⁉

 日本でも、遺伝子の特許は有効です。例えば、BRCA1とBRCA2遺伝子の特許はミリアド社が保有しています。BRCA遺伝子検査は健康保険の適応外となり、その費用は約20万〜30万円と非常に高価に設定されています。

 ところで特許は、権利をもらうために特許庁に出願してから20年で権利はなくなりますから、BRCA遺伝子検査の日本での特許(JP3455228)が切れる2016年12月まで待つというのもひとつの選択肢でしょう。だたし、同様の問題はBRCA遺伝子だけではありません。日本でもカナダやオーストラリアのような訴訟が起こる可能性もあります。

 またBRCA遺伝子検査のケースでも、遺伝子の変異には人種差があり、欧米のデータは全くあてにならないため、欧米のデータに依存することはできません。検査の質の向上のためには日本人の研究データの蓄積が必須ですが、特許の縛りがあって国内では研究ができません。こうしている間も、遺伝子検査用のサンプルの米国への流出は加速しています。

 問題はそれだけにとどまりません。米国のよりよい研究環境を求めて、日本人研究者の米国への流出も懸念されるのです。自分の関心のある遺伝子について母国では研究ができなくても、米国では特許に関する訴訟を恐れることなく研究に従事できるからです。そうなると、日本国内での遺伝情報に基づいた予防・治療薬の研究開発が遅れるでしょう。そのような状況を防ぐためにも、遺伝子の特許を日本でも無効にすべきだと思います。