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3月11日 17時0分
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米国株の下値メドは?〜雇用統計結果報告〜 - マネックス証券 フィナンシャル・インテリジェンス部「米経済の「今」を読む -経済指標動向-」

非農業部門雇用者数 2月 +29.5万人 市場予想 +23.5万人 前月 +23.9万人(下方修正)
失業率 2月 5.5% 市場予想 5.6% 前月 5.7%


■ポジティブ・サプライズ雇用統計
6日に発表された雇用統計は非農業部門雇用者数が前月差29.5万人増と市場予想の23.5万人増を大きく上回った。1月分は25.7万人増から23.9万人増に下方修正された。また、合わせて発表された失業率は5.5%と前月から0.2ポイントの改善を見せ、こちらも市場予想を上回る改善となった(グラフ参照)。マネックス証券では非農業部門雇用者数について21万人増程度を予想していたが、大きく外してしまう結果だった。


指標のヘッドラインを見ると「ポジティブ・サプライズ」と呼ぶことのできる雇用統計だったと言える。12ヵ月連続で20万人増を上回った非農業部門雇用者数の増加はもちろんのこと、失業率の5.5%は2008年6月以来6年8ヶ月ぶりの低水準である。

今回の雇用統計で市場は「6月利上げ」の実現を急速に折り込みにかかったようだ。グラフに示したように、雇用統計発表直後から債券は売られ長期金利が大きく上昇、ドル円は急速に円安ドル高に振れた。


筆者は1月に執筆したレポートで、6月に利上げが行われる可能性が高いのではないかと記し、現在もその考えに変わりはない。ただ、冷静に2月の雇用統計の詳細を見てみると、今回の雇用統計が6月利上げシナリオの確度を大きく高めるほどのインパクトがあったかというとやや疑問が残る。

■労働参加率の低下と賃金の鈍い伸び
2月の雇用統計で労働参加率は低下し、賃金の伸びはこれまでと同水準で伸びが加速というような状況は見られなかった。まず労働参加率だが、62.8%と前月から0.1ポイント低下した。職探しを諦めた人が増加し、失業者にカウントされなくなれば、見た目の失業率は低下する。失業率を計算している家計調査における2月の失業者数は前月から27.4万人減少した一方で、就業者数は9.6万人しか増加していない。単純に比較はできないが、この差分の一部は職探しを諦めてしまった可能性がある。

また、2月の平均時給は24.78ドルと前年同月比からの伸びは1.98%にとどまった。1月の2.19%の伸びから伸びが鈍化しており、過去1年間の平均である2.07%を下回っている(グラフ参照)。また、金融危機前の3%を超える伸びには遠く及んでいない。


このように、非農業部門雇用者数や失業率の低下といったヘッドラインは堅調だが、一方で質的改善が不十分とみられる点もある。米国の雇用環境が堅調な回復を続けていることに疑いの余地はないが、今回の雇用統計でこれまでと大きく異なる変化があったかというと、そこまでの驚きはないのではないか。

■ドル高懸念と米国株安
雇用統計が発表された日にNYダウ平均は278ドルの大幅下落を記録した。翌営業日はやや持ち直したものの、昨日10日は332ドル安と今年最大の下げを記録した。ドル高による米国企業の収益悪化懸念とされているが、理由はそれだけではないだろう。筆者は前回の当レポートや「米国株 Market Pick Up」という週間で執筆しているレポートの2月23日号3月2日号において、「短期的な過熱感と冴えない発表が続く米国経済指標から買い急ぐ局面ではない」と主張していた。

というのも米国の経済指標は雇用関連を除いて、冴えない内容の発表が続いている。まず、月初に発表されたISM製造業景況感指数は52.9と4ヵ月連続の悪化で、改善と悪化の境目となる50が見えてくる水準となった。新車販売台数は販売低迷とまで呼ぶべき内容ではないものの3ヵ月連続で年率換算の販売台数が減少している。消費者センチメントを表す消費者信頼感指数も昨夏からの上昇が一服した。このような状況の中で、米国株はじりじりと値を上げて最高値更新をしていたが、マーケットが安心して高値をとっていけるような状況にはなかったのである。

そのような状況下で良好な雇用統計が発表されドル高が進んだことを材料に、一挙に利益確定売りが出たというのが現在の状況ではないだろうか。

■米国株の下値メド
前述したように筆者は米国株下落の要因は冴えないファンダメンタルズにあると考えているため、その改善が見られない限り再び大きく高値を更新していく局面にはなりづらいと考えている。また、4月中旬からは1―3月期の企業決算発表が本格化する。本格的に企業決算にドル高の悪影響が出てくる可能性があるならば、マーケットはそれを見極めたいとの心理が働く可能性もあるだろう。さらに、それこそ6月利上げの可能性が高まっているならば、その重要イベントを前に大きなリスクオンの流れにはなりづらいのではないだろうか。

ただ、米国経済は昨年までの強い状況にあるとは考えづらいだけで、脆弱なわけでは決してない。そのため当然下値では買いが入ってくると考えられる。当面の下値メドはどの水準だろうか。

グラフは2014年以降のNYダウ平均の推移を示したものである。グラフを見れば明らかなように、昨年以降ダウ平均が200日移動平均を大きく割り込んだのは10月の1度のみである。当時は欧州の景気停滞懸念(Euro)、エボラ出血熱の拡大懸念(Ebola)、エネルギー価格の急落(Energy)、量的金融緩和の終了(End)と懸念事項の頭文字をとって”4つのE”と呼ばれた悪材料が重なり、マーケットでパニック的に株が売られ、世界同時株安といった状況となった。


今回の米国株安は現時点でそこまで大きなリスクが顕在化しつつあるとは考えにくい。であるならば、200日移動平均がサポートとなって反発に転じる可能性をみても良いのではないだろうか。3月10日現在のNYダウ平均は17,662ドル、100日移動平均は17,609ドル、200日移動平均は17,251ドルである。ここから先は、下がったら少量ずつ買い下がっていける局面だと考えている。

■用語解説
雇用統計(米国)
米政府による雇用環境を調査した統計。発表される統計のなかでも、失業率(働く意欲がある人口に占める失業者の割合)と非農業部門雇用者数変化(農業従事者を除いた雇用者数の増減)が市場で注目されやすい。通常は月初の金曜日に前月分が公表される。

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(マネックス証券)


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