これからは人事の時代
挑戦すべきことは多い

『MBAの人材戦略』などの著書で知られる米ミシガン大学のデイビッド・ウルリッチ教授は、人事の役割を四つに分けて定義している。四つのうち二つは従来型業務で、人事サービスを提供する管理者、従業員の擁護者としての役割だ。残る二つは戦略のパートナー、変革の推進者としての役割である。

「従来から担ってきた従業員のための役割は今も重要ですが、今後は戦略パートナー、変革の推進者としての役割を強化する必要があります。これだけ世の中が変化し、グローバル化が進んだ時代、日本企業が旧来の制度や組織を維持したままで成長できるとは思えません。成長への戦略を策定・実行する上で、人材や組織を預かる人事の責任は極めて大きい」(会田氏)

 グローバルリーダーの育成、組織や文化の変革などについて、これまで十分に取り組めなかったと考えている企業は多いだろう。しかし、「このままでいい」と思っている人事部門のリーダーは少ないはずだ。人材や組織などの面で変革が遅れていることもあり、その必要性に対する社内の共通認識は広がりつつあるように見える。

 人事部門が戦略的な機能を強化するためには、経営者の理解とバックアップが必要だ。また、人事部門としても、業務の効率化により人材や予算面でのリソースを生み出し、攻めの能力向上に当てるといった取り組みも求められるだろう。

 いずれにしても、人事部門が守りと攻めの両面でチャレンジすべきことは多い。だからこそ、会田氏は「これからは人事の時代だと思います。人事を担うエキスパートにとっては、エキサイティングな仕事をするチャンス」と強調する。

 まずは、自分たちがキープレーヤーであると自覚することが重要だ。その責任と役割を再定義し、経営者と共に企業の成長をリードする。そんな人事部門への進化が、求められている。