ダイヤモンド社のビジネス情報サイト
inside

不良債権まみれの銀行株が先導
欧米株価持ち直しの“持続力”

週刊ダイヤモンド編集部
2009年8月24日
著者・コラム紹介バックナンバー

 ニューヨークダウは7月23日に9000ドル台を回復。8月12日には一時9400ドル台を付けた。FT100指数も8月13日には年初来高値を更新した。

 そのリード役を果たしているのが銀行株だ。S&P金融株指数は8月18日までの1ヵ月で1割弱上昇している。

 しかし、欧米主要金融機関の決算を見る限り、景気と株価の先行きは暗いと言わざるをえない。

 トレーディング収益や株式や社債の引受業務の好調で、主要金融機関の多くは黒字決算となった。JPモルガン・チェース、シティグループ、バンク・オブ・アメリカ、ドイツ銀行、BNPパリバの第2四半期決算はいずれも二期連続の黒字を計上した。

 しかし、内容を見ていくと第1四半期同様、景気後退下で不良債権に侵食される現状が浮かぶ。

 シティグループは、モルガン・スタンレーに売却したスミスバーニー証券の売却益110億7800万ドルの計上など特殊要因がなければ、最終赤字だった。不良債権比率も前期の3.97%から4.40%に急上昇している。

 バンク・オブ・アメリカも中国建設銀行株売却益53億ドルなど特殊要因を除くと「税前利益で5億ドル前後の赤字」(中川隆・大和証券SMBC金融市場調査部次長)となった。貸倒引当金残高の不良債権に対するカバー率は113%から109%に低下しており、引当金を十分に積み切れていない現状が浮かび上がる。

 不良債権に蝕まれている惨状は欧州の金融機関も同様だ。「今年に入って不良債権が急増している」(藤岡宏明・大和証券SMBC金融市場調査部次長)のである。

 バークレイズの2009年1~6月期の減損費用(貸倒償却額と貸倒引当金繰入額の合計)は前期比53.3%増の45億5600万ドルにふくらんだ。BNPパリバの09年第2四半期の信用コストも前期比28.4%増の23億4500万ドルに増大している。

 8月7日に発表された米国の非農業部門の雇用者数は前月比25万人減少。減少幅縮小は株式市場を活気づけた。だが、減少が続いていることに変わりはない。景気低迷は続き、「今後も不良債権拡大が続く」(石原哲夫・みずほ証券シニアクレジットアナリスト)のは避けられない。現にJPモルガンは、決算発表の席上で、今後のプライム、サブプライムの信用コストの見通しを引き上げた。また、7月以降、毎週末地方銀行が破綻しその数は32に上る。

 こうしためじろ押しの悪材料を「市場は無視している」(中空麻奈・BNPパリバ証券東京支店クレジット調査部長)のが現状だ。

 株価が回復に向かった七月初旬以降、経済のファンダメンタルズとの歪みはひどくなる一方だ。経済の急回復が見込めない以上、株価下落によって歪みが解消される日はそう遠くないだろう。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 竹田孝洋)

週刊ダイヤモンド

今週の週刊ダイヤモンド

2017年1月28日号 定価710円(税込)

特集 劇変世界を解く 新地政学

世界史の大転換が始まる

【特集2】
銀行界も戦々恐々
コンビニATM戦争

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購入いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

【下記のサイトからご購読いただけます】

(ストアによって販売開始のタイミングが異なるため、お取扱いがない場合がございます)

スペシャル・インフォメーションPR
クチコミ・コメント

DOL PREMIUM

PR
【デジタル変革の現場】

企業のデジタル変革
最先端レポート

先進企業が取り組むデジタル・トランスフォーメーションと、それを支えるITとは。

経営戦略最新記事» トップページを見る

最新ビジネスニュース

Reuters

注目のトピックスPR

話題の記事

週刊ダイヤモンド編集部


inside

産業界・企業を取り巻くニュースの深層を掘り下げて独自取材。『週刊ダイヤモンド』の機動力を活かした的確でホットな情報が満載。

「inside」

⇒バックナンバー一覧