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弁護士・永沢徹 企業乱世を読み解く

ニッポン放送争奪戦“影の主役”が新たに仕掛けた「損保再編劇」

――サウスイースタン社 vs.日本興亜損保

永沢 徹 [弁護士]
【第35回】 2008年6月27日
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 昨日6月26日、注目の株主総会が行なわれた。それは日本興亜損害保険(以下、日本興亜)の株主総会。社長の再任をめぐり、米投資ファンド サウスイースタン・アセット・マネジメント(以下、サウスイースタン社)と日本興亜の対立が深まっていた。

 サウスイースタン社は、議決権ベースで約20%の株を保有する日本興亜の筆頭株主。日本興亜 兵頭社長の経営手腕に問題があるとして、株主総会での兵頭社長再任に反対票を投じた。しかし、昨日の株主総会で賛成票が過半数を超えたため、兵頭社長の再任は決定。日本興亜としては、アデランスのような最悪の事態を回避することができた。

ニッポン放送争奪戦の
「影の主役」だったサウス社

 それにしても今回の主役の1人であるサウスイースタン社。スティール・パートナーズほど知名度はなく、聞き慣れない人も多いかもしれない。しかし実は、過去にもいくつかの大型買収劇の仕掛け人の1人として登場しており、かなりの“役者”なのである。

 実はこのサウスイースタン社、2005年2月に起こったライブドアとフジテレビによるニッポン放送争奪戦において、「影の主役」といわれている。当時、サウス社はニッポン放送の大株主。時間外取引でライブドアに対して大量のニッポン放送株を売った本人が、まさにこのサウス社だったのだ。

 また2007年5月に起きたシティバンクによる日興コーディアル買収においても、サウスイースタン社はキーマンとなった。日興コーディアルの大株主であったサウス社は、シティ側が提案したTOB価格1350円を拒否。「2000円の価値がある」として、TOB価格の値上げを要求。最終的には1700円で合意し、株をシティに売却。多額の利益を手にしている。

 さらにサウスイースタン社は、これ以外にも大型の買収劇を仕掛けている。ニッポン放送争奪戦が起こる約2年前の2003年12月、スカパーとWOWOWの合併を画策したのだ。それは当時、設備投資の負担と加入者数の伸び悩みで苦戦していたWOWOWをスカパーが買収し、巨大なCSメディアを誕生させるというシナリオだった。サウス社から提案を持ちかけられたスカパーも一度は検討したようだが、結局それは実現せず、幻の買収劇となった。しかしサウス社は、スカパー株が値上がりしたタイミングを見極め、市場で株を売却。見事に売り抜けている。

 実はこの幻の買収劇が、のちに起こったにニッポン放送争奪戦の原点になったともいわれている。

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永沢 徹 [弁護士]

1959年栃木県生まれ。東京大学法学部在学中に司法試験合格。卒業後の84年、弁護士登録。95年、永沢法律事務所(現永沢総合法律事務所)を設立。M&Aのエキスパートとして数多くの案件に関わる。著書は「大買収時代」(光文社)など多数。永沢総合法律事務所ホームページ


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