UberやLyftの“シェアライド”は<br />日本で普及するか(上)サンフランシスコ市街にある、Uber本社の前 Photo by Kenji Momota

3月に入り、日本で大きな動き
Uberの実証試験に行政指導、Lyftに楽天が巨額出資

 日本時間の2015年3月2日、日本の複数のメディアが「米ベンチャーのUberが福岡県福岡市で行なっているシェアライドの実証試験に対して、国土交通省が中止を求める行政指導をした」と報じた。これら報道のいくつかで、同実証試験を「白タク」と称していた。

「白タク」とは、旅客業務を利用の目的としない白いナンバープレートの乗用車を使い、タクシーのような営業活動を行なうことだ。

 Uberについて本連載では、第185回「創業5年で時価総額約2兆円の急成長ベンチャーUber本社で痛感した新交通システムのあるべき姿」(2014年8月1日)を掲載した。これは、日本メディアとして初となる同本社の直接取材だった。

 筆者は上記の3月2日の各種報道を、スイス・ジュネーブモーターショーの現地取材時に知った。そこでUberジャパンに対してメールで「事の真相について教えてほしい」と問い合わせたところ、担当者からすぐに返信があった。

 それによると、Uberは2月4日に同実証試験を開始。3月3日には運用の安全性に関するコメントを、同社ブログで正式コメントとして出している。また、各種報道で取り上げられている運用に対する「実費」(ドライバーへの支払い)について、国土交通省が平成18年9月29日の通達のリンクを提示し、これが、Uber側が実証試験を行う上での法的解釈である、との見解を示した。以下がこれら3件のリンクである。

・2月4日付
http://blog.uber.com/everyonesuber

・3月3日付
http://blog.uber.com/everyonesuber_safety

・国土交通省の通達
http://www.mlit.go.jp/jidosha/sesaku/jigyo/jikayouyushoryokaku/styleoftransportwithoutlicense.pdf

 その後、3月5日付のコメントとして、福岡での実証試験を終了し、今後は「第二フェーズに向けた準備中」として、筆者宛に連絡があった。

・3月5日付
http://blog.uber.com/everyonesuber_next

 筆者としては、Uberジャパンの代表者に、今回の件を含め、日本における同社の事業計画についてインタビューをしたい、とのリクエストを出している。本稿執筆時点で、同社からまだ回答はない。

 また3月10日、日本のウェブ系メディアが今回の件について、国土交通省自動車局旅客課・課長へのインタビュー記事を掲載。そのリンクが各方面に広がり、「国とUberジャパンとの意見の相違が露呈した」とし、一般個人のTwitterやFacebook、またブログなどで様々な書き込みが見られた。