「面倒くさいが地球を破壊している」

『地球交響曲<ガイアシンフォニー>第二番』の龍村仁監督が『森のイスキア』に初めていらしたときに、「にんじんの白和え」をお出ししたんです。

「どうやってつくったんですか?」
 と聞かれましたので、これはまず、くるみをわって、すって……と説明したら、
「ずいぶん面倒なことをしたんですね」って。

 それで、わたしは、
「面倒くさいっていうのがきらいなんですよね」
 と言ったら、監督が「そうですよ」って力を込めて答えたの。

「その面倒くさいが地球を破壊しているんですよ」ってね。

 わたしも、ほんとうにそう思います。
 一日何回も面倒くさいって思うことがありますが、そのたびに「ああ、いけない」と思いながら、今もやっているんですけれどね。

初女式「にんじんの白和え」
をうまくつくるコツ

 現在、にんじんの白和えは、『森のイスキア』のトレードマークになっていて、見える方からもよくリクエストされます。
 一時は毎日のようにつくっていたので、わたしのほうが飽きてしまってつくらない日があったんですね。

 そうしたら、たまたまその日いらしたお客様の一人から、
「今日はにんじんの白和えはないんですか?」
 と言われたの。
 それで、うちのスタッフが、
「今日はお休みしました。またつくりますから、そのときに食べにきてください」
 と答えたのですが、次はいつあるかわからないとわたしは思い、みんなが食べている途中に席を立って、にんじんの白和えをつくって、最後にごちそうしたのです。
 そうしたら大変喜ばれましたね。

 にんじんの白和えが人気なのは、にんじんの青臭さがないからだと思います。
 塩とほんの少しの砂糖を加えて、にんじんを下ゆでして、くさみをとっているので、にんじんが苦手という人にもおいしいと言ってもらえるのです。