常備菜が「落ち着き」を呼ぶ

 でも、こうした常備菜がいくつか冷蔵庫にあれば、まずそれを出して、その間に食事の支度をする、というふうに落ち着いて調理できるでしょう。

 料理が苦手という人も、とにかく実践してみてください。
 今日は何にしましょうと考えていると、レシピづくりで悩んでしまうので、面倒に考えないで、今日は自分でこうして食べたいなというものを考えたほうがやりやすいでしょう。

 よくみんなで集まって夕方になると、「今日のお夕飯は何にする?」と話して、「じゃあ、うちもそれにしよう」なんていうことがありますが、わたしはそういうのはありませんでした。

 いつもそのときに自分が食べたいなあと思うものをつくっていましたから。だから、嫌なものを子どもに食べさせようとしても、やっぱり子どもも嫌なものは食べたくない。

 お母さんは、家族みんなの好きなものをつくっていくといいということですよね。

 その日の食材に合わせたふさわしい方法で食べる人のためを思い、ていねいにつくっていく調理というのは、透明に生きるために必要なことがすべて含まれているのですが、なにげなくやっていると通りすぎてしまいます。

 そうではなく、このすべてが透明につながるのだと考え、一つひとつ手をかけて心をかけてやっていきたいと思います。

93歳「集大成書籍」へこめた想い

 このたび、数々の方にお世話になりながら、わたしがこの20年あたためてきた「透明」をテーマした書籍『限りなく透明に凜として生きる』を発刊しました。

 ずっと、このことを話したかったの
 ずっと、このことを書きたかったの
 ずっと、このことを伝えたかったの
 透明のこと。

 いちばん大事なのは、待つことです。
 母性に立ち返るとき、問題は自然に解決します。
 「いのちのうつしかえ」のとき、人も透明になるのです。

 透明だと、ほんとうに、生きやすい。
 何かになろうとしなくても、
 それは自分の中にすでにあるものです。
 透明になって真実に生きていれば、
 それがいつか必ず真実となってあらわれます。
 だからわたしたちに今できることは、
 ただ精一杯、真面目にていねいに生きていく、
 これだけだと思うのです。

 よろしければ、一度お読みいただけると幸いです。
(次回へつづく)

<著者プロフィール>
佐藤初女(さとう・はつめ)
1921年青森県生まれ。青森技芸学院(現・青森明の星高等学校)卒業。小学校教員を経て、1979年より弘前染色工房を主宰。老人ホームの後援会や弘前カトリック教会での奉仕活動を母体に、1983年、自宅を開放して『弘前イスキア』を開設。1992年には岩木山麓に『森のイスキア』を開く。助けを求めるすべての人を無条件に受け入れ、食事と生活をともにする。病気や苦しみなど、様々な悩みを抱える人々の心に耳を傾け、「日本のマザー・テレサ」とも呼ばれる。 1995年に公開された龍村仁監督の映画『地球交響曲<ガイアシンフォニー>第二番』で活動が全世界で紹介され、シンガポール、ベルギーほか国内外でも精力的に講演会を行う。日本各地で「おむすび講習会」を開くとすぐ満員になる盛況ぶり。アメリカ国際ソロプチミスト協会賞 国際ソロプチミスト女性ボランティア賞、第48回東奥賞受賞。2013年11月の「世界の平和を祈る祭典 in 日本平」でキリスト教代表で登壇。チベット仏教最高指導者のダライ・ラマ法王と初対面。その際、おむすびをふるまう。 『おむすびの祈り』『いのちの森の台所』(以上、集英社)、『朝一番のおいしいにおい』(女子パウロ会)、『愛蔵版 初女さんのお料理』(主婦の友社)、『「いのち」を養う食』(講談社)など著書多数。