顧客からの募金が
CSR活動の原資に

 このCSR活動は、「顧客からの寄付によって賄う」という、あまり前例のない方法で進められている。

 千趣会は2013年、「えがおの森」と名付けられた基金の仕組みをつくり、その基金を原資にして、三つのCSRプロジェクトを進めてきた。東北の復興を支援する「東北ハハトコかけはしプロジェクト」、乳がん検診を広める「ピンクリボンプロジェクト」、環境負荷の低い社会を目指す「グリーンプロジェクト」である。「ハハトコのグリーンパワー教室」は、そのうちのグリーンプロジェクトに属する活動だ。「えがおの森」の「えがお」は、同社の企業ビジョンである「ウーマン スマイル カンパニー」に由来している。顧客の9割を占める女性を笑顔にすることによって世の中を幸福にしていく、というビジョンが基金名にも反映されているというわけだ。

 基金を支えているのは、同社の顧客であるベルメゾン会員からの募金である。買い物の際にクリックすることで100円から募金できる「クリック募金」、買い物によって蓄積するポイントから募金する「ポイント募金」、1口500円からの「ベルメゾン募金」、売り上げの一部が寄付となる「協賛商品」の購入の四つの方法によって会員は募金をすることができる。

 一般に、企業のCSR活動は、総務、広報、経営戦略といった部門の予算によって推進されることが多い。間接部門の予算であるために、CSR活動費はコストと見なされ、企業の業績が悪化するとしばしば大幅に削減されることになる。

 しかし、顧客からの寄付となれば、CSR予算はコストではなくなる。顧客から金銭という形で委託された「志」を実現させるために、本気で、かつ継続的に取り組まなければならない取り組み、それが千趣会の「えがおの森」であり、そこにCSR活動としての新しさがある。