「説明しつくす」ことに気を取られると、そういった点に神経が回りません。今の僕は、つねにプレゼン相手の動向を見ています。特に決定権のあるキーマンの表情や動きから、目を離しません。

 ひと通り説明を終えたら、相手の反応をうかがいます。渋い表情であれば、なぜ渋い表情なのかを探るために、こちらから質問を投げかけてみます。

 あるいは、説明の途中でも、相手の質問を積極的に受け入れます。相手がどこかに引っかかっているようであれば、その時点で、「何か気になるところが、ありますか?」とこちらから反応をうながします。

 優秀な相手であればあるほど、企画書を見れば、話の内容はだいたい分かります。分かっているのに、「説明の上塗り」をされても、「そんなこと分かってるよ!」と言いたくなるものです。

 また、相手が提案内容自体を理解しきれていない場合でも、では、内容を理解しきれればOKを出すかといえば、そうとも限りません。

 プレゼンが苦手な人ほど、とにかく説明しようとします。でも、プレゼンのコアは、「説明すること」ではありません。

 では、何のためにプレゼンするのか? それは、相手の気持ちを動かすためです。

 これは、スピーチでも、同じです。

 与えられた持ち時間に対し、いっぱいに詰め込むと、早口になり、とにかくすべてを話し終えようとする。そんな光景を、よく見かけます。

 聞く側からすると、「そんなにいろいろ言われても、覚えきれないよ」というのが本音でしょう。

 スピーチし慣れた外国人は、スピーチの最初か最後に、よく「今日のテイク・アウエイは、このポイント」といった話し方をします。このスピーチを聞いてお持ち帰りいただきたいポイントは、「これだけ!」というのを、話者自らが短いセンテンスで、まとめて紹介するわけです。