消費者の購買意欲が旺盛な成長市場で行なわれる小売ビジネスの戦いは、「集客」が勝負となる。お客さえ呼び込むことができれば、後は自ずと一定割合の商品を買ってもらえるからだ。

 このようなビジネス環境においては、「集客力」を持つ小売店舗が、販売商品を供給するメーカーやテナントに対して、圧倒的な優位に立つことになる。

 「ウチには、買い物をするお客がたくさん来る」

 「ウチに来たお客様が、どのブランドの商品を買うかはわからないが、ウチに陳列してある商品の何かは必ず買っていく」

 「したがって、御社(メーカー、テナント)の商品が売れなかったとしても、それはウチのせいではなく、御社のせいだ」

 「もちろん、我々は御社に売れるチャンスを提供しているのだから、御社の商品が売れても売れなくてもおカネはいただきますよ」

 極端に言うと、小売プレイヤーのホンネはこういうことになるのだろう。

不動産ビジネスに走る小売業者の
呆気にとられる「殿様商売ぶり」

 高度成長期、バブルの時期に多くの日本の百貨店がそうであったように、現在成長真っ盛りである中国の小売業も、集客力を武器に小売というよりむしろ「不動産ビジネス」を営んでいる。

 カルフール、ウォルマートなどの外資系大手小売が幅を利かす、中国のGMS(総合スーパー)業界の例を挙げよう。

 中国のGMS店舗で、商品を陳列してもらいたいメーカーは、まず入場料を払わなければならない。その入場料はとても高い。たとえば、ある店舗に1つの商品を置いてもらうだけでまず3万元(約42万円)程度を店に払う必要があるのだ。