2015年の成長率目標が
7.0%前後に引き下げられた理由

全人代から読み解く<br />中国「景気下振れリスク」の本質第12期全国人民代表大会では、2015年の政府経済成長率目標が7%前後と、2012年~2014年の目標7.5%前後から引き下げられた。中国経済の景気下振れリスクの本質を読み解く
Photo:AP/アフロ

 3月15日に閉幕した第12期全国人民代表大会(全人代=日本の国会に相当)第3回会議では、初日の3月5日に李克強首相による政府活動報告が行われた。注目された2015年の政府経済成長率目標は7%前後と、2012年~2014年の目標7.5%前後から引き下げられた。中国は、2014年の7.4%成長(実績)からの若干の景気減速というソフトランディングを、目指していることになる(下記表1参照)。

 2015年の主な目標は以下の通りである。

・実質GDP成長率は7%前後(2014年の目標は7.5%前後、実績は7.4%)とする。

・消費者物価上昇率は3%前後(2014年の目標は3.5%前後、実績は2.0%)とする。

・都市新規雇用増加数は1000万人以上(2014年の目標は1000万人以上、実績は1322万人)とし、都市登録失業率は4.5%以内(2014年の目標は4.6%以内、実績は4.1%)に抑制する。

・貿易の伸びは前年比6%増前後(2014年の目標は同7.5%増前後、実績は同2.3%増)とし、国際収支の基本的バランスを図る。

・個人所得の伸びを経済発展に見合うものとする。

・単位GDP当たりのエネルギー消費量を、前年比3.1%以上削減(2014年実績は同4.8%削減)し、主要汚染物質の排出量を減らす。単位GDP当たりの二酸化炭素は同3.1%以上、化学的酸素要求量(COD)とアンモニア性窒素は同2%程度、二酸化硫黄は同3%程度、窒素酸化物(NOX)は同5%程度、排出量を削減する。