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黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

20代高学歴女性を洗脳する
ワンマン社長の「人心管理術」(上)

吉田典史 [ジャーナリスト]
【第8回】 2015年3月24日
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若手女性社員が笑顔で頑張る姿は、それだけで華がある。そんな企業には先進的なイメージがあるが……。Photo:taka-Fotolia.com

 今回は、前回紹介したエピソード(「20代高学歴女性を飼い殺す大企業のホンネ」(上)(下))の続編となる。筆者がインタビューを行った男性(A氏とする)は、数年前大規模なリストラを行った中堅広告代理店(正社員数600人)で、事業部長(46歳・男性)をしていた。

 A氏は、前職でリストラが行われたとき、創業経営者である社長から命じられ、自らが責任者を務める部署に在籍していた正社員130人のうち、70~80人から退職届を取った。このリストラは、23歳~28歳の社員たちをターゲットにしたものだった。

 これをきっかけにA氏は、会社の上層部に不信感を強く抱き、依願退職した(この間の事情は、筆者の以前の連載の記事『未来ある20代社員80人が涙した壮絶リストラの内幕 元事業部長が懺悔する「追い出す側」の奔放な論理』を参照してほしい)。

 それから1年半後、新天地(広告代理店、正社員数500人)で働くこの男性に改めて取材をした。A氏は、当時の状況に今も強い憤りを感じており、こうした「闇」を抱える企業社会に対して、深い問題意識を持っていた。特に、以前の職場にいた高学歴の20代女性社員の価値観について、危機感を抱いている。筆者は今回も、その部分に焦点を合わせた聞き取りを試みた。そこからは、カリスマ創業経営者の「行き過ぎた宗教的な人心管理」が見えてくる。


「女性が輝ける職場をつくろう」
と宣伝するワンマン企業の目的とは

前回に続き、A氏に前職の職場における「異様な状況」を聞いた

A氏 社長たちは、マスコットをつくったわけ。20~30代の高学歴な女性社員や、就活をする高学歴な女子学生が注目するような……。これが社長の今の側近である、50代前半の女性。役職は執行役員。創業メンバーだから、社長とは阿吽の呼吸で進んでいるみたい。社長は信用のおけない創業メンバーは、次々と辞めさせたから。

 この女性は、あるプロジェクトを社内で立ち上げた。ビジネス雑誌などで話題の女性経営者などを招き、社員向けの講演もした。それが新聞などで紹介されたから、彼女は一躍話題の人に。役員たちが連日、社内のイントラなどで全社員にそのことをアナウンスした。

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吉田典史 [ジャーナリスト]

1967年、岐阜県大垣市生まれ。2006 年からフリー。主に人事・労務分野で取材・執筆・編集を続ける。著書に『あの日、負け組社員になった・・・』『震災死 生き証人たちの真実の告白』(共にダイヤモンド社)や、『封印された震災死』(世界文化社)など。ウェブサイトでは、ダイヤモンド社や日経BP社、プレジデント社、小学館などで執筆。


黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史

 ここ10数年の間に社会環境が大きく変わり、人々のホンネとタテマエに対する価値観が揺らぎ始めている。それを具現化しているのが、今の企業の職場ではないだろうか。これまでは、ホンネとタテマエが絶妙にバランスしながら、人間関係が維持されてきた。しかし、企業社会において生き残り競争が激化し、「他人より自分」と考えるビジネスパーソンが増えるにつれ、タテマエを駆使して周囲を蹴落とそうとする社員が増えている。

 誰もが周囲を慮らなくなり、悪質なタテマエに満ち溢れた職場の行きつく先は、まさしく人外魔境。そこで働く社員たちは、原因不明の閉塞感や違和感、やるせなさに苛まれながら、迷える仔羊さながらに、次第に身心を蝕まれて行く。この連載では、そうした職場を「黒い職場」と位置づけ、筆者がここ数年間にわたって数々のビジネスパーソンを取材し、知り得たエピソードを基に教訓を問いかけたい。

「黒い職場の事件簿~タテマエばかりの人外魔境で生き残れるか? 吉田典史」

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