プロ野球のキャンプも中盤を過ぎ、各球団とも2月下旬から始まるオープン戦に向けて実戦的な練習が多くなってきた。

 この時期になると書店やコンビニに並ぶようになるのが、選手の顔写真とプロフィールが掲載されている選手名鑑だ。

 筆者も仕事柄、毎年数種類を購入するが、しっかり保存しているのは週刊ベースボールの増刊「プロ野球全選手写真名鑑」で、過去22年間分を保存している。

 これらを見比べたところ、興味深い発見があった。時代とプロ野球界の微妙な変化が読み取れるのである。

 まず時代の変化。最も古い89年版にはなんと選手の住所が載っているのだ。独身で合宿所暮らしの選手は実家の、家庭を持つ選手は現住所が町名から番地、マンションの部屋番号まで明記されている。また、奥さんや子供の名前や年齢も掲載。個人情報の扱いが厳しくなった現在から考えれば信じられない情報公開だ。

 住所を掲載しているのは、ファンレターを出したい人に便宜を図ったのだろう。妻子の名前と歳を公開する理由は分からないが、こんな家庭を持っているということを示すためか。ともあれ今、こんな情報を載せたら、選手はストーカーや子供の誘拐の心配をしなければならなくなる。20年ほど前は選手もこんなプライベート情報の掲載を容認していたのだから、のどかな時代だったのだ。

球界の顔として
表紙の常連だった清原と古田

 プロフィール欄から住所が消えたのは91年版から。妻子の名前・年齢の掲載はその後も続き、04年版で年齢が消え、05年版から名前が消えた。現在は「妻と1男1女」というように家族構成が載っている(独身者は好きな女性タレント名)。

 20年前から変わらずに公開されているのは趣味と愛車だが、個人情報には神経質になる一方のご時世、いつかはこれらの情報も消える時がくるかもしれない。