ケーススタディ(2)日清紡ホールディングス
バランスシート・ヘッジで欧州企業買収に伴う
為替リスクを管理

日清紡ホールディングス
事業支援センター
財経・情報室財経グループ
担当部長 塚谷修示

 当社グループは「環境・エネルギーカンパニー」として、持続可能な経済・社会の実現に資する製品・技術の開発を行っています。「無線・エレクトロニクス」「車載・機器」「生活・素材」「新エネルギー・スマート社会関連」と事業分野は多岐にわたりますが、現在、コア事業となっているのはエレクトロニクスと自動車用ブレーキの2つです。

 ブレーキ事業は日本、韓国、北米、中国、タイ、インドに生産拠点を構え、グローバル展開を図ってきましたが、2011年11月に欧州のブレーキ摩擦材メーカー、TMDフリクション(以下、TMD)を買収し、世界シェア・ナンバーワンの座を確保しました。現在、世界中の自動車メーカーに対し、ディスクパッド、ライニングなどを供給しています。

 TMDの買収で懸案となったのが、高利回り社債の発行による借り入れでした。PMI(買収後の統合)では、これをいかに取り除くかが財務的課題となっていました。2013年1月以降、3回のアクションを起こしました。最初は経営権の移動に伴う償還手続き、次に公開買い付け、そして最後が強制償還です。これらを通じて残ったのは、本社とTMD間の親子ローンでした。償還資金は本社が円で調達し、TMDにユーロで貸し付けたため、2013年5月以降の円安・ユーロ高によって本社に巨額の評価益が計上されることとなりました。

 為替の世界は何が起こるかわかりません。相場が逆に振れると評価損にもつながりかねないとの危機感から、連結決算時における為替リスク管理を課題として、バランスシート・ヘッジを導入しました。為替予約を活用した反対取引が基本スキームですが、みずほ銀行には複数の商品を提案いただき、我々の真のリスクをあぶり出したうえで、最適な商品選定にご協力いただきました。相談から実行まで短期間で進められたことや、結果として年間を通じて安定的に為替差損益が推移したことは高く評価しています。

 グローバル展開が加速するなかで、円、ドル、ユーロ以外にも複数の通貨がバランスシートに混在しています。引き続き平時の為替リスク管理に努めるとともに、今後は子会社に偏在した資金の効率的な運用にも取り組んでいきたいと考えています。