中国 2015年4月2日

電気炊飯器に続くか!? 日本産米を売り込め

2006年に中国に移住し、蘇州、北京、広州、そして08年からは上海に在住。情報誌の編集長を経て現在はフリーランスとして活躍する大橋さんの中国レポート。日本の電気炊飯器が大人気という中国。今や日本土産の定番だ。ところが日本産米の人気はまだまだ。炊飯器人気に追いつけるか?

 2月の旧正月中は、日本での中国人観光客による“爆買”が話題となり、日本製の電気炊飯器がよく売れた。しかし、その電気炊飯器で炊かれるコメは中国産か、輸入品の場合でもタイ産が多く、日本産が選ばれることは少ない。

 2014年の日本のコメ輸出額を見てみると、対中国は前年比300%増。しかしその額は、上位3カ国・地域の香港、シンガポール、台湾とは大きな開きがある。日本食の浸透度では、中国の大都市も3カ国・地域に引けを取らないが、この差はどこからくるのだろうか。 

 

価格は日本の約4倍に 

 まず300%増という数字は、過去に大きく落ち込んだ反動によるものだ。中国政府は、東日本大震災による福島第一原発からの放射能漏れで12都県からの食品の輸入を禁止。その結果、11年の日本のコメの対中国輸出実績はゼロとなった。同年末に若干緩和されたものの12年、13年も影響を引きずり、輸出量は低調だった。14年になってようやく回復したため、4倍増となったのだ。

 原発の問題以外にも中国政府は、コメの輸入に規制を課している。精米工場と燻蒸倉庫は中国当局が認可した指定の施設しか利用できないが、現在のところ、それぞれ1カ所しか許可されていない。ほかの業者も基準をクリアしたことを示すデータをそろえているのに、「当局が確認に来てくれない」(業界関係者)のだという。

 中国に限った話ではないが、国内の農業を保護したいという政府の思惑が透けて見える。いまの輸出量ならそれほど大きな支障はないのかもしれないが、将来的に輸出量が増えた場合、それが足枷になりかねない。

 もうひとつの大きな問題に価格差がある。日本で2キロ1000円程度で買える銘柄米が、中国では200元前後、日本円で約3800円にもなってしまうのだ。65%の関税に加え、13%の増値税(付加価値税)が重くのしかかる。中国でもコシヒカリやあきたこまちなどといった日本の品種が生産されているが、それらは輸入品の半額以下で買える。

 さらに、流通における商慣習も価格を押し上げている。中国では新しい商品の場合、売れ残りリスクを考慮して「末端価格が高めに設定されている」と、全日本コメ・コメ関連食品輸出促進協議会(全米輸)の米田実専務理事は指摘する。日本側でも生産効率向上によるコスト削減に取り組んでいるが、それだけでは価格を抑えるのは難しく、「流通を変えていかなければならない」と米田氏は強調する。

 日本のコメ関連の輸出実績を見てみると、加工品のほうが割合が大きい。14年のコメの輸出額は14億2800万円だったが、米菓は39億4444万円、日本酒は91億1141万円で、コメ関連全体の約6割を占める。

 中国でも日本酒の伸びは好調だ。14年は前年比32%増の6億9029万円で、初めて台湾を抜いた。日本料理屋の増加の影響もあり、日本酒の知名度は中国でも高いが、日本酒はコメや米菓と比べて産地が多く、中国による輸入規制の影響を比較的受けにくかったことも要因ではないだろうか。それでも上位とはかなり差があるが。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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