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シリコンバレーで考える 安藤茂彌

成功裡に終わった民主党大会で見えてきたオバマの茨の道

安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]
【第8回】 2008年9月8日
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 8月25日から4日間に渡ってコロラド州デンバーで、民主党の大統領候補を指名する党大会が開催された。この2日前の23日にオバマ候補は、デラウェア州選出のジョー・バイデン上院議員を副大統領候補にすると発表した。この大会はオバマを民主党の大統領候補に、バイデンを副大統領候補に正式に指名する大会となった。

 ところがバイデンを副大統領候補に指名すると発表した途端に、オバマの支持率が落ちてしまった。オバマがヒラリー・クリントン上院議員を副大統領候補に指名しなかったからである。しかも、クリントン候補に事前の「仁義を切っていない」との噂が流れたため、クリントン候補への同情がオバマの支持率低下を加速した。大会開催直前の世論調査では、予備選でクリントン候補を支持した層の半分は棄権するか、共和党のマケイン候補に投票すると回答した。

 こうした混乱の中で、初日25日には、エドワード・ケネディ上院議員が応援演説をし、オバマ候補夫人ミシェル・オバマが始めて公開の場で正式演説をした。

 彼女はまず自分の生い立ちから話し出した。オバマ同様、貧しいシカゴ南部の黒人街で育ち、奨学金を得てハーバードの法律大学院を卒業した。一時はシカゴの法律事務所で働いていたが、19年前にオバマと結婚をし、今は二人の娘の母として子育てをしながら、社会奉仕を続けている。貧しさの中でも家庭を大切にし、努力をすれば必ず報われるとの信念を持ち、ここまで生きてきたと語った。そしてオバマとともに、努力するものが報われるアメリカを作ろうではないかと呼びかけた。

オバマ支持を訴えながら
無念さをにじませたヒラリー

 2日目には、ヒラリー・クリントン上院議員が演説をした。会場にはクリントン議員の熱狂的な支持者が多く集まっていた。彼女がどのような演説をするかに注目が集まった。彼女は「彼に投票したか、私に投票したかに関係なく、いまひとつの党としてオバマを支援しなければならない、誰も傍観者になってはならない」と警告した。その後、彼女の持論である健康保険の充実、女性の地位向上、イラクからの撤退、貧困からの脱却を説き、自分と似た政治信条を持つオバマ候補への支持を呼びかけた。

 演説の最後の部分で、クリントン議員の表情は殺気立ってきたように見えた。オバマ支持を訴える言葉とは裏腹に、自分が本命といわれながら勝てなかった無念さ、ここでは一旦オバマを立てるものの、2012年には再びこの壇上で大統領候補として返り咲いてみせるという意気込みを感じさせた。

 3日目には、ビル・クリントン元大統領が演説をした。夫人が最後までオバマ候補の対抗馬として残ったことから、常に微妙な立場に置かれてきた。時にはオバマ候補を罵倒しながら夫人の応援演説をしたこともあった。この演説では、最後まで自分の信念を貫いて善戦した夫人を称えるとともに、彼女を支持した人も、11月の本選挙ではオバマ候補に投票してほしいと訴えた。

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安藤茂彌 [トランス・パシフィック・ベンチャーズ社CEO、鹿児島大学特任教授]

1945年東京生まれ。東京大学法学部卒業後、三菱銀行入行。マサチューセッツ工科大学経営学大学院修士号取得。96年、横浜支店長を最後に同行を退職し渡米。シリコンバレーにてトランス・パシフィック・ベンチャーズ社を設立。米国ベンチャービジネスの最新情報を日本企業に提供するサービス「VentureAccess」を行っている。VentureAccessホームページ


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シリコンバレーで日本企業向けに米国ハイテクベンチャー情報を提供するビジネスを行なう日々の中で、「日本の変革」「アメリカ文化」など幅広いテーマについて考察する。

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