あぶら見聞録
【第4回】 2015年4月6日 森枝卓士[写真家/ジャーナリスト]

「鶏の脂」はどう料理すべきか―「プロの技」編

 焼き鳥屋で、親子丼だけの客はなぜ困るのか

つくねとぼんぼち。このつくねにアブラが……。ぼんぼちはお尻の先の部分。かりっとした歯触りのあとにジューシーなアブラの旨みが……

「親子丼だけのお客様おことわり」

 バードランドとその主人、和田利弘さんとの付き合いを思い返していたら、そんな文句を思い出した。

 まだ、バードランドが阿佐ヶ谷に、今の阿佐谷店の場所に一つだけあった頃、そこで知り合った。たまたま、隣で大学の先輩がバーをやっていた。雑誌の編集長だったが、社長と喧嘩して辞めて、バーを開いていた。そこに行くと、いつも、手前のこぎれいな焼き鳥屋に行列が。そして、親子丼だけ……の張り紙。今はさすがになくなったが、当時はそれがトレードマークのようだった。

 ちょっと傲慢?不思議に思いつつ、行くようになり、常連とはいわぬまでも親しい間柄になった。気がつけば本店は銀座、それもすきやばし次郎のお隣という場所に移り、弟子筋がいくつも店を開いたりして……。

 そんなわけで、ふだんは客であったり、店がはねたあとに一緒に飲んだりということで、真面目に焼き鳥について話したりしたことはなかったのだけど、今回、この連載のために素面で話をして、あれやこれやの謎が解けた。

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1955年、熊本県水俣生まれ。写真家、ジャーナリスト。

水俣病の取材に訪れたユージン・スミスと出会い、フォト・ジャーナリストを志す。国際基督教大学で文化人類学を学んだ後、東南アジアを手始めに世界各地に出向き、取材・撮影・執筆活動を行う。大正大学客員教授など様々な大学で食文化を講義。漫画『華麗なる食卓』の監修も務めた。著書に、『カレーライスと日本人』『食は東南アジアにあり』『考える胃袋~食文化探検紀行』(石毛直道との共著)『食べもの記』『味覚の探究~美味しいってなんだろう』『食べているのは生きものだ』など「食」に関する著作多数。


あぶら見聞録

20年ほど前に著した『味覚の探求』で、「人間にとって味覚とは何か? 美味しいとはどういう意味か?」という根本的な問題に正面から取り組んだ著者が、いま改めて、あぶら(油・脂)の持つ旨さとは何かを検証する、「味覚の探究」の新シリーズ、開幕! 

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