橘玲の日々刻々 2015年3月31日

日本とドイツの「戦争責任問題」はどこが違うのか?
[橘玲の日々刻々]

 ギリシアのチプラス政権がドイツに対し、第二次世界大戦の占領で被った損害1620億ユーロ(約22兆円)の賠償を要求しています。それに対してドイツは、「賠償問題はすべて解決済み」と拒否しました。

 この報道に、なんかヘンだと思ったひとも多いでしょう。日本はいつも、戦争責任をめぐってドイツと比較され、批判されていますが、ギリシアとドイツのやり取りはアジアのどこかの国とそっくりです。

 戦後の日本とドイツが置かれた立場のちがいは、人類の“負の遺産”となったヒロシマとアウシュヴィッツを比べればわかります。どちらも人類史に画期をなす大事件ですが、強制収容所がユダヤ人絶滅計画という「加害」の記録だとすれば、広島・長崎への原爆投下では多数の市民が死亡し、重い原爆症で苦しんだのですから、こちらは「被害」の歴史遺産です。映画『ゴジラ』に象徴されるように、戦後の日本人は原爆を天災とみなすことで「罪の相殺」をしてきました。

 日本は沖縄が戦場になりましたが、北方四島などを除き「固有の領土」を失うことはありませんでした。それに対してドイツは、敗戦によって多大の犠牲を払うことになります。

 首都ベルリンが陥落すると、ドイツ東部ではロシア兵によって数十万人(200万人ともいう)の女性が強姦されました。冷戦で国土が東西に分割されたばかりか、スターリンはポーランド東部の領土をソ連に編入する代わりに、ドイツとの国境を大きく西に動かし、ドイツの領土のおよそ4分の1をポーランドに割譲させました。これによって1000万人以上のドイツ人が追放され、リンチや強姦などの報復行為で210万人が死亡または行方不明になったといいます。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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