世界で約1億8000万人の月間アクティブユーザーを抱えるメッセージングアプリは、スマホ時代に多様なビジネスを取り込む生態系を築けるのか。新社長に聞いた。

LINE社長 出澤 剛 <br />モバイル決済事業を軸に収益源の多様化に挑むPhoto by Masato Kato

──新たに社長に就任しました。新しい経営陣が目指す方向はどこにあるのでしょうか。

 大きく二つの方向があります。一つ目は海外ユーザーを増やすことです。特に北米、南米、アジアに注力しています。二つ目が、昨年秋に発表した生活分野でプラットフォームを展開する「ライフ構想」を、より具体的なサービスとして育ててゆくことです。

 海外における人員は1000人を超えました。意思決定の速さとシンプルな組織運営を、より大きな規模で維持しないといけません。組織はフラットにして、事業責任者に大きな権限を与えています。

──昨年12月に始めたモバイル決済サービス「LINE Pay」は、とりわけ力が入っています。

 この決済サービスこそ「ライフ構想」の軸になるものです。先月からタレントの大久保佳代子さんを起用したテレビCMを流すなど、キャンペーンを展開しています。

 アパレル分野ではZOZOTOWNやフォーエバー21、音楽コンテンツのHMVオンラインなどのウェブサイトですでに使えます。またタクシー配車アプリ「LINE TAXI」でも、乗車料金の支払いに利用できます。

 今後は飲食店など実店舗にも広げてゆく計画です。最終的には現金やカードが要らない世界をイメージしていますが、まずは便利な機能として広げていきたいです。

──昨年の通期売上高は863億円と前年比で2倍以上に成長しましたが、約60%がゲーム事業と収益源にまだ偏りがあります。