吉田 突然何かファンキーなことを言いたい気持ちになったんですが、僕は完璧なテーマパークに行くと、そういう気分になるんですよ。

岸見 ほう。

うまくいかないコミュニケーションのほうが<br />学びは大きい

吉田 テーマパークは楽しい場所ですが、結局は、周到に誰かが準備してくれたことが、当たり前に起こっているだけですよね。そう考えると、そこから能動的な学びを得ることはあまりない。それに対して、何も見るべきものがないような田舎に、青春18きっぷで電車を乗り継いで出かけたりすると、ものすごい学びがある気がするんですよ。とことん人を楽しませるアミューズメント施設より、いっさい何もしてくれないローカル線の景色のほうが、たくさんのことを考えさせてくれる。

岸見 それは言えますね。うまくいっていないコミュニケーションでも、そこから何かの学びを得ることが大切だと思います。ただでは起きない、といいますか。「父とその子」として生まれたからには、二人の関係があまり良くなくても、何かしらの意味がある、と考える。そう考えると、言葉を交わさなくても、いずれは良い関係が築けることもありえますね。

(後編に続く)