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【特別企画】脱・勘とドンブリ経営

ファクトベースで検証する出店戦略〈2〉

新規出店の理論的根拠を明らかにする

ダイヤモンド社クロスメディア事業局
【第2回】 2015年4月17日
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売上予測も地域調査も念入りに行って出店を決めたのに、なぜ不採算店となるのか――前回の「売上低迷の既存店改革」で説明したように、そもそも出店前の調査に大きな誤差がなければ、不採算店を作るような出店は避けられる。そこで今回は、新規出店に当たって検討すべきファクターを紹介しよう。

なぜ、予測と結果の「誤差」が出るのか?

――不採算店の改善に頭を抱える経営者は少なくありません。そうした結果を招くそもそもの原因は、出店に際しての調査そのものにあるようです。

 より正確にいえば、不正確なデータに基づいて意思決定者が最終判断をしていることが問題です。つまり、現場からトップまでが自社の実態を把握していないのです。

榎本篤史
ディー・アイ・コンサルタンツ
取締役社長
2003年、ディー・アイ・コンサルタンツに入社。出店戦略、売上予測の仕組みづくり、売上予測調査など、数多くのコンサルティングに従事。都市型・郊外型の飲食・小売・サービス全般を得意とするシニアコンサルタントとして確かな実績を積み上げ、2014年に取締役社長に就任する。

 新規出店を成功させる企業は、既存店の状況をよく理解しています。どんな客層が、どういうアイテムを購入しているかといった現象から自社事業の強みを認識し、さらに地域特性による優位性など、定量データだけでは導き出せない数値を加味して、出店による成長性を把握しているのです。

 これについては回を追って説明していきますが、まず理解していただきたいのは、既存店の現象を正確にとらえることで、自社が最適な距離や業態で出店できる範囲を特定し、自社の適正配置を分析できるということです。これによって今後優先的に出店すべきエリアを特定し、出店余地数を算出できる、つまり、自社の成長性を導き出せるということです。

 出店余地数は企業成長に直結する基礎データであり、中長期経営計画の核となるものです。このベースがなおざりなケースが非常に多いのは問題です。

 さらに、構造的な問題もあります。

開発部門が売上予測をして、期待できる数字が出ると出店が決まる。
開店後は運営部門にバトンタッチする。
予測通りに売上が伸びないと、開発部門と運営部門が失敗の責任を押し付け合い、責任逃れのための「犯人探し」に走る。
予測と結果の検証は行われず、責任の所在が曖昧となる。

 開発担当者の仕事は、本来、量だけでなく質でも評価されるべきでしょう。ところが多くの企業が、質より量を優先しているのが現実です。

 例えば、ある飲食チェーンの平均月商が800万円とします。年に20店舗開発する担当者は高く評価されるでしょうが、担当店の月商が400万円でも黙認する、というケースが少なくありません。特に業界2位、3位企業は店舗数が拮抗しているため、どうしても質より量に目が行きがちです。つまり、出店後の実績を把握していない(検証が行われていない)のです。

<<<関連資料【中長期の出店戦略~計画的に出店をし続けるために】>>>

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