相手について調べ、相手が信じている主義・主張があらかじめわかっているのなら、それを、あなたの意見であるかのように話をしてあげるとよい。相手もそのように考えているわけで、「そうそう、俺もそう思うんだよ」と同調してくれ、奇妙な連帯感というか、共感が生まれるからだ。

 たとえば、社員のクビ切りには、断固として反対している人がいるとしよう。こういう人には、

  「リストラする会社では、従業員のやる気と生産性が下がりますから、かえって逆効果なんですけどね」

などと話をふってあげよう。相手もそのように信じているから、必ず同意してくれる。そうなればしめたもので、あなたは今まで以上に信頼されることになり、相手が気を許してくれるようになる。

相手が喜ぶなら
自分の意見はコロコロ変えていい

 筆者は、まだ独身でいて、まだまだ結婚するつもりがない人には、

  「結婚には、悪いところもたくさんあって、独身者がうらやましいです」

と述べ、反対に幸せそうな結婚している人に向かっては、

 「やっぱり、結婚が一番です」

などと述べている。節操なく、カメレオンのように意見を変えているわけだが、悪いことだとは思っていない。なぜなら、相手が喜んでくれるわけだから。

 テキサス大学のジョナサン・コーラー教授は、自分の信念と一致することを言ってくれる人の意見は、正しいと評価されやすいことを確認し、これを「一致効果」と名づけている。

 相手が考えていることを先読みし、それをあたかも自分の考えであるように伝えると、「一致効果」によって、あなたの信頼性はアップするのである。

 私たちは、自分の意見と食い違うメッセージや、自分への反論に対してはかなり敏感である。