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予期せぬ異動・転勤から生まれたクラシックの名曲4選

小栗勘太郎 [音楽愛好家]
【第3回】 2015年4月11日
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 4月、新年度が始まりました。進学、進級、そして新社会人が第一歩を踏み出す初々しい季節です。

 すでに企業で活躍しているビジネスパーソンにとっては、人事異動・転勤の時期でもあります。慣れ親しんだ職場を離れ、新しい場へ移った方も多いでしょう。激しい競争を勝ち抜いて昇竜の如く勇躍、栄転という場合もあるでしょうが、不本意な異動や都落ち、または信念を貫いた上で甘んじて受け入れた左遷…といったことだってあるかもしれません。

 長い人生、照る日もあれば降る日もあります。順風満帆の人生というのも、案外つまらないかも。意に沿わぬ転勤・人事異動も人生の貴重なスパイスです。少々の事ではへこたれず、他人の痛みも分かるようになるでしょう。優しさと強靭さを併せ持つ、より素敵な人間になれるはずです。

 音楽の世界でも、人事異動や転勤の結果に生まれた名曲・名演があります。そこで今回は、クラシックの名曲から4曲を厳選。後世に名を遺す偉大な音楽家たちが生みだした名曲の背景には、様々なドラマがありました。

(1)緊急事態の人事で大活躍
アルトゥール・トスカニーニ ヴェルディ歌劇『アイーダ』

 トスカニーニは20世紀を代表する最高の指揮者です。心技体とも充実した89歳の生涯を全うし、数々の名演と逸話を残した真のカリスマです。

 しかし、若き無名のトスカニーニ青年が天才指揮者へと羽ばたく瞬間には、人生の妙味が凝縮していました。自らの夢を諦めた時に、思いがけないチャンスが舞い降りてくる…。運命の交差点とも言えます。

 トスカニーニは1867年、イタリアで誕生しました。北部の街・パルマの労働者階級が暮らす地域の仕立て屋の息子でした。幼い頃から楽才を示し、全額給付生として10歳でパルマ王立音楽院に入学。作曲、チェロ、ピアノの各科で最優秀成績となり、18歳で卒業しました。

 作曲家になる夢を追いますが、ヴェルディやワグナーら偉大なる先達の音楽を研究するにつけ、己の才能の限界を知ることとなります。それでも、ロッシ歌劇団に首席チェロ奏者兼、合唱副指揮者のポストを得ます。18歳の青年としては抜擢でした。

 そして、運命の扉が突然開きます。

 翌年の86年、歌劇団はブラジル公演に赴きます。リオデジャネイロの聴衆たちは、本場イタリアのオペラに期待を膨らませましたが、初日の公演は不出来で失敗。歌手たちは指揮者の交代を要求しました。

 そして公演2日目。急遽別の指揮者が演壇に立つと、観客は大騒ぎ。指揮者は狼狽して演奏ができず、混乱は1時間以上続きました。

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小栗勘太郎 [音楽愛好家]

1958年生まれ、牡羊座のB型。某国立大学卒、米国滞在5年。公僕を生業とする音楽愛好家。著書は『音楽ダイアリーsideA』 『同sideB』(西日本新聞社)。『毎日フォーラム』誌にて「歴史の中の音楽」を連載中。


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