準大手化学メーカーの積水化学は、住宅から高機能プラスチックまでカバー領域は幅広い。事業間でシナジーを出すことは可能なのか。新社長に聞いた。

積水化学工業社長 高下貞二 <br />1坪40万円台で拡大を狙う<br />電気代タダのスマートハウス(上)Photo by Toshiaki Usami

――積水化学は大きく三つの事業分野を持っていますが、そのうち、上下水道のパイプなどを製造・販売する環境・ライフラインカンパニーの収益率が思わしくありません。

 確かに環境・ライフラインカンパニーのマージンが低いというのは事実です。営業利益率でいくと住宅カンパニーは8%を超えていますし、高機能プラスチックスも10%を超えている。ところが残念ながらご承知の通り、環境・ライフラインカンパニーは3%前後という状況ですね。一番大きな原因は、新設住宅着工戸数の減少に伴うパイプを中心とした汎用品事業の売り上げ減少です。住宅の着工戸数は今、1996年の164万戸の半分の89万戸にまで減っていますが、われわれのパイプ事業は、この住宅の着工戸数と非常に強くリンクするんです。

「営業利益率で10%をやるんだ」というのが、この3月に社長に就任した私の大きな抱負の一つでもあるわけですが、それを達成するためには、やっぱり環境・ライフラインカンパニーの営業利益率が少なくとも5%以上は欲しい。今、売上高が2300億円くらいですから、あと100億円は利益を出してもらわなきゃいかん、と、こういうことなんです。

――では、具体的にどんな手を打っていますか。

 3月31日、汎用品事業の効率化を進めようということで、開設から60年以上たつ東京工場を閉鎖し、各地にある工場で、それぞれの地域に合った製品を適正な量だけ作っていく体制に移行しました。ひと言で言うと「地産地消」による汎用品の効率化。これをやることによって物流費が大幅に削減できるわけです。今までは、販売量が減り、販売価格も非常に安くなっている中、東京工場から遠く離れていた場所にもわざわざ持って行っていたんです。非効率な費用がいっぱいあったと。

 値段が安くなるというのは汎用品の宿命っていうんですかね。かといって、汎用品事業にはわれわれの背骨になる収益を稼ぎ出してもらわなきゃいけないわけですから、現有事業をブラッシュアップするという趣旨でこうした徹底した効率化をやったということです。

――地産地消ですか。

 パイプっていっても何百種類ってありますから。