子どもたちに「何が本当にゴミなのか」
を考えるクセを

オーストラリアから見える<br />日本人の常識・非常識<br />【小島慶子vs石坂典子 壮絶本音対談2】石坂典子(いしざか・のりこ)
石坂産業株式会社代表取締役社長。「所沢ダイオキシン騒動」最中に2代目社長に。地域から嫌われ、社員の4割が去る絶体絶命の状況から「脱・産廃屋」を目指し、社員教育を断行。12年かけて、トヨタ、全日空、日本経営合理化協会、各種中小企業、大臣、知事、大学教授、タレント、ベストセラー作家、小学生、中南米・カリブ10ヵ国大使まで、日本全国だけでなく世界中からも見学者があとを絶たない企業に変える。経済産業省「おもてなし経営企業選」選抜。2013年末、首相官邸からも招待。財団法人日本そうじ協会主催の「掃除大賞」と「文部科学大臣賞」をダブル受賞。『心ゆさぶれ!先輩ROCK YOU』(日本テレビ系)にも出演。ホタルやニホンミツバチが飛び交う里山保全活動に取り組み、JHEP(ハビタット評価認証制度)最高ランクの「AAA」を取得(日本では2社のみ)。「所沢のジャンヌ・ダルク」という異名も。本書が初の著書。(撮影:平山順一)

石坂 じつは10年前に社長になってとても忙しい時期は、まめに掃除ができなくて、空いた時間に大掃除をしていました。すると、捨てるものがたくさんあった。しかもその大半がまだ使えるもので、壊れて使えないものはごく一部。それを見た瞬間、無駄遣いをしているなと思いました。

小島 そうだったんですか。

石坂 それで自分の価値観が変わり、高くても本当にほしいものだけを買いたいと思うようになりました。それを手に入れることで、ものに対する愛情が湧いてきます。
 すると修理をしてでも、ずっと使っていたくなる。私が大切にしているのは、オールドパイン材のアンティーク家具。社長になって家に寝に帰るだけの生活になったとき、寝に帰るなら最高によいベッドを買おうと思って選びました。
 ほかの人にとってはガラクタに見えるかもしれませんけど、オイルを塗って手入れをし始めると、木がだんだん飴細工のような色に変わり、本気で「死ぬまでこのベッドを使おう」と思うようになりました。

小島 いいものを長く使うっていいですよね。そういう生活スタイルだとゴミは減らせる。もし学校で、ゴミだと思うものに「ゴミシール」をはってみるという授業があったら、完全にゴミと認定されるものは意外と少ないのかも。
 私たちは毎日の生活のなかで、本当はゴミではないものまで、簡単にゴミ(もう捨てるしかないもの)と認定しているんじゃないかと思うんです。何が本当にゴミなのかを考えるクセを子どもの頃から考えていくことは、とても大切なんじゃないかと思います。

石坂 父は「夢の島」でまだ使える製品が廃棄物として埋め立てられていくのを見て、やがてリサイクルの時代がやってくると考えました。そして、リサイクル化の事業展開をしたわけです。

小島 ここ30年くらいで大きく変わりましたね。私たちの子どもの頃は夢の島にゴミを埋めていた時代。それから分別回収、リサイクルの時代に変わってきた。でも、まだ変えていかなくちゃいけないところはたくさんあると思う。