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田中角栄の“遺産”か“呪縛”か。ガソリン税をめぐる対立の構図

週刊ダイヤモンド編集部
【08/03/22号】 2008年3月17日
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週刊ダイヤモンド 今、ガソリンは1リットル当たり150円ほどですが、これが2008年4月から税金分の約25円値下がりするかもしれません。1974年に“一時的に”導入された暫定税率適用の延長期限がこの3月末で切れるからです。

 今週の特集は、このガソリン税とその使われ方について、平易かつ多角的に取材しました。

 国会では、与野党の意見が真っ向から対立しています。簡単に説明すると「暫定税率とガソリン税の使われ方は現状維持」と言う自民党と公明党に対して、民主党は「暫定税率は廃止、ガソリン税は一般財源化」と主張しているわけです。

 ガソリン税は現状では、ほぼすべて道路整備のために使われています。なぜなら、「ガソリンを買う際にその税を上乗せして払っている、自動車ユーザーのために使うのが“筋”」ということで、今日まで54年間続いてきました。1954年、田中角栄元首相が一介の議員だった頃に、国会でおよそ100日間もの熱弁をふるって作った制度です。これにより、高度経済成長を支えた道路整備が促進された面は確かにあります。

 これに対して民主党は、「時代は変わった。ガソリン税も、消費税などで集めた一般税収に組み入れて、教育や福祉などにも使えるようにしよう」と言うのです。「昔は一部の人しか使っていなかった自動車だが、今や全国民が何らかの形で使っている。例えば、タクシーやトラックなどの運賃には当然、ガソリン税の負担も含まれている」という理屈です。

 一方、道路整備という使われ方についても対立があります。高速道路は、名神や東名など大都市を結ぶ幹線道から順につくられてきました。先に恩恵を受けたのは主要都市。ようやく地方に高速道路がつながる順番という今頃になって、使い方を見直すというのはおかしい、というものです。

 しかし、交通量の多い東名高速などでは、その建設費はユーザーが払う通行料で賄えたのですが、地方ではそうはいかない。高額な高速道路をつくっても採算に合わず、借金がたまるばかりで、次世代にツケを回すことになります。

 こうした正論の対立に加え、さらに利権をめぐる争いが絡みます。地方の道路整備が決まると、その仕事を請け負う建設業者が潤います。彼らは、そうした仕事を中央の国土交通省から“引っ張って”くることができる力のある政治家を、選挙では支援します。いわゆる“道路族”政治家は、自民党・田中派の隆盛とともに、成長していきました。今日、その利権の構造は広く知られ、批判を浴びていますが、それでもその呪縛からなかなか抜けられません。

 小泉・安倍政権はその構造からの脱皮を図り、改革を進めましたが、福田政権になって、道路族が巻き返してきています。

 自動車ユーザー VS 一般国民、地方 VS 中央、道路族 VS 非道路族の対立が、与野党入り乱れる。麻のごとく乱れる対立の構図を、本特集では、具体的に、わかりやすく、解きほぐします。

(『週刊ダイヤモンド』副編集長 大坪亮)

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