フィリピン 2015年4月17日

マニラのスラム街、スコーターを探検してみた

フィリピン在住19年。元・フィリピン退職庁(PRA)ジャパンデスクで、現在は「退職者のためのなんでも相談所」を運営しながら、仕事のパートナー一家と暮らす志賀さん。今回は、スラム街や下町などを回る、一風変わったマニラ観光案内です。

 観光名所ではなく、自分たちだけでは行けないようなところに案内して欲しいというちょっと変わった依頼を受けた。

 フィリピン人でも避けるスコーター(スラム)や下町などにいたく興味があるというご夫婦だ。ちなみにスコーターはsquatterのことで、squatすなわち「しゃがみ込む」から、都市部の不法定住者やその地域をいうようになった。

 私のビジネスパートナーであるジェーンの兄、アランに頼んで、彼の知り合いが住んでいるというパサイ市のマリバイ、トラモ地区のスコーターエリアに向かった。フィリピン人にとっても、つてなしでスコーターに入るのは危険きわまりない行為だ。

 表通りから一歩入ると、川沿いにスコーターが広がっていた。海岸や河岸は防災の関係で一定の範囲は国有地になっている。そこを違法に占拠(スクワッ ト)しているのだが、国有地は誰のものでもないから、危険な思いをして追い出しに躍起となる役人はいない。

 スコーターだからといって、皆が悪人ばかりとは思えないが、行くところがなくなってたどり着いた人も多い。仕切っているのはヤクザで、日本人が迷い込んだら無事に出てくるのは難しいだろう。 

川沿いにこぼれ落ちるばかりにバラックが立ち並ぶ。川はまるでゴミ処理場だ【撮影/志賀和民】
スコーターの住民の仕事はパジャック(商用三輪車)の運転など過酷で低収入の職業だ【撮影/志賀和民】

 とはいえ、スコーターの中は外見とは裏腹に、どの家も意外とこぎれいにしている。洗濯物がやたらと干してあり、フィリピン人の清潔好きはここでも感じられる。同行した奥さんは、「慣れればここでも暮らしていけそう」との感想を漏らした。誰もがひとなつっこそうに、ものめずらしげにこちらを眺めている。なかなかかわいらしい少女もいて、将来はここから風俗店などに働きにいくのだろうと思った。

 じゃぱゆきさんと親しくなった日本人男性が、結婚の申込に女性の実家を訪ねると、そこはスコーターだったという話はいくらでもある。たいていは、二人の家を構えると妻の家族一同が移り住んでくることになる。

 消防車などは入れるはずもないので、いったん火事になったら手の施しようがないだろう。積み木のように部屋が増築されているので、上階の人は逃げようがない。どういうわけか、ここのところスコーターの火事が目立つ。

 ちなみに、このスコーターを案内してくれたアランの知り合いは、本当かどうか知らないが、警察でも一目置かれているヒットマン(殺し屋)だという。我々の足元を気にする、気のよさそうなおじさんだったのだが。


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橘 玲(Tachibana Akira) 作家。1959年生まれ。早稲田大学卒業。「海外投資を楽しむ会」創設メンバーのひとり。著書に『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』『(日本人)』(幻冬舎)、『臆病者のための株入門』『亜玖夢博士の経済入門』(文藝春秋)、『黄金の扉を開ける賢者の海外投資術』(ダイヤモンド社)など。
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