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4月20日 18時0分
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ここから何を買うか - 広木隆「ストラテジーレポート」

上げ相場についていけない。押したら(調整したら)買おう、と思っていても、「押し目待ちに押し目なし」の展開が続いていた。ところが、いざ相場が下がると、今度は悪材料ばかり目につくようになる。メディアの論調も途端に弱気が増える。その結果、すくんでしまって買いの手が出せない ― そんな個人投資家は結構多いのではないか。

日経平均が、わずか一瞬2万円の大台にタッチして、この相場が終わると考えるなら、そもそも相場のセンスがない。確かに悪材料は多い。ドル高が米国企業の業績の重石になり、米国の利上げが後ろ倒しとなる可能性も出てきた。それはドル円相場にとっては円高ドル安要因となる。ギリシャのデフォルト(債務不履行)リスクも喧伝されている。そこに来て、中国当局が空売り規制を緩和したことで中国株の急落懸念まで浮上した。しかし、それらはすべて外部要因だ。アベノミクス相場の第二幕は、日本企業の変革を買う相場だ。だからこそ、米国株や為替相場に振り回されず堅調相場が続いてきたのである。

この辺りの説明は3月25日付けレポート「年度末の日経平均、新年度の株式相場」に詳しく書いてあるのでご参照いただきたい。この「日本企業の変革を買う」という大きなテーマに注目したのは今になってのことではない。昨年11月に上梓した「勝てるROE投資術」(日本経済新聞出版社)のメインテーマが、まさにこのROE革命ともいうべき日本の企業改革だった。

<今年6月下旬に閣議決定された新成長戦略は、我が国の株式市場にとって非常に重要な意味をもつ。大袈裟かもしれないが、この先何年かあとで振り返ったときに、この新成長戦略の策定が日本株式市場の大きな転換点だったと語られる日が来るだろう。新成長戦略のなかで真っ先に掲げられたこと ― それが「日本の『稼ぐ力』を取り戻すこと」だったからである。これこそ、長期にわたる日本株式市場低迷の元凶を断ち切り、持続的な株価上昇を目指すという国家の意思表示にほかならない。>(「勝てるROE投資術」序章・今なぜROEか)

だが、そのメインテーマはすでに成長戦略が発表される前にストラテジーレポートで取り上げている。2014年6月23日付けレポート「日本株 堅調さの背景 内と外 PART2」ではこう述べている。

<政府が成長戦略で企業の「稼ぐ力」を高めることを標榜し、その仕組みを整える。企業もそれに応えて アクションをとる。こうした官民一体となった日本企業の ROE 向上への姿勢が国内外の機関投資家に 評価されないはずがない。それこそが日本株式市場が堅調地合いを取り戻した背景であると考える。>

この流れはちょっとやそっとでは変わらない。前回のレポートで指摘した通り、日本の年金と投資信託を通じた個人の長期資金が株式市場に入り始めている。先週15日の日経新聞は「ROE投信、個人が関心」という記事を報じた。

<個人向け金融商品の代表である投資信託で、企業の資本効率に着目して株式で運用するファンドが相次いでいる。資本を使ってどれだけ利益を稼いだかを示す指標である自己資本利益率(ROE)を、運用する株式銘柄を選ぶ基準にする。野村アセットマネジメントが運用を始めた投信のように、1000億円を超える資金を集めるファンドも出ている。運用会社は昨秋以降、相次ぎROEを基準にした投信の運用を始め、これらの残高の合計は約3800億円に達した。今月3日に野村アセットが設定した「日本企業価値向上ファンド」は、ROE改善が見込める企業などを選び投資する。「予想以上に反響が大きい」(販売を担う野村証券)といい、資産は1800億円超に積み上がった。>
ROEを基準に銘柄を選ぶ、といっても「高ROE銘柄」に素直に投資すればいい、というわけではない。「勝てるROE投資術」ではこう述べた。

<投資初心者のための資産運用を解説した本に、こう書いてあった。「まずはROEの高い企業の株を買ってじっくり持っておけば間違いはない」。大きな間違いである。>(第2章 ROEを使った投資術・ROEの高い銘柄を買ってはいけない)

なぜ高ROE銘柄への投資が良好なリターンに結びつかないのかは、「勝てるROE投資術」をお読みいただくとして、ではどのようにROEを投資に利用するべきか。野村アセットが設定した「日本企業価値向上ファンド」の商品説明資料によれば、同ファンドは、

1) ネットキャッシュの活用による企業価値の向上が期待され
2) ROEを意識し株主還元を積極化する日本企業

に投資するという。ネットキャッシュとは手元流動性(現預金+短期有価証券)から有利子負債を引いたものである。そして、ここがミソだが、ROEの高い銘柄ではなく、ROEが低い銘柄を定量面のユニバースにするというのだ。足元のROEが低いからこそ、それを改善しようとキャッシュを活用して自社株買いや増配など株主還元を強化したり、設備投資やM&Aに資金を振り向ける。そういう企業が市場で評価されるのである。

これに倣って、スクリーニングを行ったのが表1である。TOPIX500構成銘柄で、ROEが8%未満、ネットキャッシュを1000億円以上保有する銘柄をピックアップした。


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表の下から2行目にスズキがある。昨日の日経新聞は、スズキの2015年3月期の連結営業利益は1800億円弱と前期比5%減となった模様との観測記事を掲載した。記事はこうも伝えている。<利益が計画に届かなかったものの、手元資金が1兆円近くあることから株主への利益還元は厚くする。純利益の何%を配当に回すかを示す配当性向について、今回から新たに15%以上とする方針を掲げる。新方針に従い前期は増配する見通しだ。>

確かに、キャッシュリッチで低いROEの企業に投資するというアイデアは悪くない。しかし、この野村アセットのファンドはすでに募集が打ち切られている。ということは、同様の運用方針のファンドのフォローがないと、こうした着眼点での買いは限られる。

偶然かもしれないが、表のいちばん上にあるソニーは、「日本企業価値向上ファンド」の設定日の前々日、4月1日から7連騰を含む一本調子の棒上げとなり、野村証券がこのファンドの募集を停止した16日に、3800円台の高値をつけて大幅反落となった。

ROE投資のキモは、既にROEが高い銘柄に投資するのではなく、これからROEが改善する銘柄に投資することである。だから、野村のファンドのようにROEの低い銘柄を組み入れの候補とすることはメイク・センスだけれども、やっぱり僕としては抵抗がある。

僕の主張するROE投資は、本業の稼ぎである売上高利益率の改善を伴うROEの改善度を基準とするべし、というものである。それに(せっかく調べたから)、ネットキャッシュの情報も加えた観点からのスクリーニング結果を表2に示した。参考にしていただきたい。

こうしたアプローチでの結果は、いずれにせよ、ソニーが最大の注目株であるということだ。今回の決算発表でどんな数字を出してくるか。前期の見込みで200億円の営業利益は、今期4000億円台への回復が市場予想のコンセンサス。ソニーのリバイバル・プランに注目したい。


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(チーフ・ストラテジスト 広木 隆)

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(マネックス証券)


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