笑顔で家事、にこだわる理由

 髙橋専務はベアーズが、心構えや笑顔にこだわる理由をこう話します。「忙しい毎日で、一番エネルギーチャージができる場所、それは自宅です。その自宅を整えている人が、いつも不平不満たらたらで、しかめ面していたらどうでしょうか? 私はいい心構え、生き方をしている人が生き生きと笑顔で家事を行うことで、その空間にいいエネルギーを残すことができる、そう信じています」

 主婦たちが生き生きと働くベアーズの秘密は、つながりの中で楽しんで学ぶ仕組みにありました。

(Reflection)
「自己流」をUnlearn(学習棄却)してプロになる

 ベアーズレディは、「家事」を長く担当していたミドル層の主婦の方々が応募してくる割合が最も高いのだそうです。過去数十年にわたり、家事を日常的に実践していたからこそ、その「経験」を活かすことを希望なさるのだと思います。しかし、日常的に、長期間にわたって実践していた「家事」と、ベアーズレディのサービスのあいだには、「連続性」もありますが、「非連続性」もあります。

 たとえば、自宅で家事をしている時には「笑顔」はことさら求められませんし、やり方も自己流で良いのです。しかし、ベアーズレディとして「サービスとしての家事」を実践する際には、そうはいきません。よって、ベアーズレディの人材育成にとってまず重要なことは「自宅での家事」と「サービスとしての家事」のあいだの「連続性」を活かしつつも、その「非連続性」を特に意識させることが重要だと感じました。

 たとえば、フィロソフィー研修などにおいてベアーズの求めるフィロソフィーをしっかり体現していくことが求められるのだと思いますし、自己流の家事のやり方を場合によってはUnlearn(学習棄却)し、金銭的対価のいただけるサービスまで、そのクオリティを昇華させる必要があるのだと思います。