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新造船の“大量キャンセル”で胸をなで下ろす日系海運会社

週刊ダイヤモンド編集部
2008年12月15日
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 市況大暴落の窮地に立つ海運市場で、日系海運会社が胸をなで下ろす現象が生じている。新造船の発注キャンセルが大量に発生。海運業界が恐れていた「2010年問題」がほぼ消えたのである。

 海運業界の2010年問題とは、好況を享受したい船主のニーズに応えて中国や韓国で40~50ヵ所の新興造船所が誕生したため、10年に船舶が供給過剰に陥るというものだった。

 しかし現在、金融不安による信用収縮で欧州の銀行は新規の船舶融資をストップしている。欧州やアジアの新興船主は資金調達難に陥り、加えて中国や韓国の新興造船所は銀行からリファンド・ギャランティ(前受金返還保証)を取得できないケースが多く、この点も理由に大量キャンセルが発生。発注主からの前払い金でヤードを建設していた新興造船所は建設もままならなくなった。

 ブローカー筋は10年に鉄鉱石などを運ぶ大型ばら積み船が300隻以上竣工するという見通しを出していたが、“リーマンショック”以降キャンセルが急増。「10年に竣工するのは、当社分析では約100隻にとどまる」と日系海運大手経営幹部は言う。

 韓国で造船事業を展開していたC&重工業の経営破綻が大々的に報じられたが、海運会社ではスポット市場で好況を享受していたウクライナのインダストリアル・キャリアーズが経営破綻し、韓パークロードも破綻。複数の企業が経営危機に瀕している。

 日本勢を見ると、日系海運会社の信用をバックに邦銀から融資を受けた国内船主が国内造船所に発注するという手堅い構造が主流であるため、現時点で金融混乱の影響は大きくない。

 長期契約主体で運航され、好況時は海外の新興勢と比べて収益力が劣っていたが、市況暴落の災いが転じて優位な立場に立った。業界全体が苦しいことは事実だが、相対的な視点で見ると、淘汰と再編が必然となるなかで存在感を増し、戦略次第では有利に駒を進めうる。

(『週刊ダイヤモンド』編集部 臼井真粧美)

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