バーナンキFRB議長は1月13日の講演で銀行システムへの追加資本注入の必要性や不良資産を買い取る「バッドバンク」構想に言及した。

 確かに、金融システム再生に向けた「根本治療」を進めていかないことには、オバマ政権の大減税策やFRBの資金供給も単なる時間稼ぎに終わってしまう。

 その日の講演でバーナンキ議長は防御的な説明も行なっていた。現在のFRBの政策がインフレを招く恐れはないこと、出口政策(正常化政策)は適切なタイミングで行なうことが強調されていた。

 昨秋のリーマン・ブラザーズの破綻以降、FRBのバランスシートはすさまじい膨張を示してきた。「FRBの資産の健全性は大丈夫なのか?」と心配する声が金融市場でこのところ増加していた。FRBとしてもそういった声を無視できなくなったのだろう。

 ところで、12月のFOMC議事要旨には、FRB内でインフレ目標の議論が再燃していたことが記されていた。バーナンキ議長は学者時代からインフレ目標の熱心な支持者だったが、FRBでの採用はいったん諦めていた。

 代わりに、経済予測の公表期間を延ばすことで、FRB幹部が考える望ましいインフレ率を市場に間接的に伝える戦略をこれまで採っていた。